オービタル旅行

最終更新:本記事は、NASA・Axiom Space・SpaceX・Vast・Voyager Technologies・Polaris Programなどの公式発表(一次情報)を優先し、価格など未公表の要素は信頼できる報道(例:Reuters/AP)を補足として扱っています。
※価格の円換算は参考(1USD=150円で概算)。実際の請求は契約条件・為替で変動します。

オービタル旅行は、地球周回軌道に乗り、数日〜数週間の滞在で継続的な微小重力環境(一般に「無重力」と呼ばれる状態)と、地球の曲率や広大な地表を体験する本格的な宇宙旅行です。
本ページでは、主要プレイヤーの情報を「実施済みの実績」「NASAが選定・計画公表済み」「開発・仲介」に分けて整理し、将来に備えたい方にも役立つ最新情報をご案内します。

  • 0 民間軌道飛行の開始
  • 0 AxiomのISS民間ミッション実績
  • 0 NASAが将来ミッションに選定
  • 0 次回Ax-5の最短目標年

※オービタル旅行には、一般旅行のように日程と価格を選んで購入できる公開価格はありません。参考として、Axiom SpaceがISS滞在(10日ミッション)について2024年に示した価格は1席あたり6,000万ドル台半ばです(2024年時点の目安。契約条件で変動)。ISSに寄らないSpaceXの民間周回は、個別ミッションごとに組成され、公開座席価格はありません。

※民間人のオービタル旅行は2001年4月28日に始まりました(デニス・チトー氏がソユーズでISSへ)。その後、2001〜2009に8回の有償ISS滞在が実施され、2021年12月には前澤友作氏らがソユーズMS-20でISSへ滞在しています。

この記事でわかること
  • オービタル旅行の「実施済み」「NASA選定・計画公表済み」「問い合わせ可能」の違い
  • 企業の役割(ミッション企画/輸送/仲介/将来機開発)と費用の目安(一次情報+報道補足)
  • 実績ミッション(Axiom/SpaceX)と、今後の計画(Ax-5・Vast・Voyager・次世代機)

オービタル旅行とは?

オービタルとサブオービタルの違い

サブオービタルは高度約100kmまで弾道飛行し、無重量状態はわずか数分。宇宙を“体験する入口”です。
一方オービタルは秒速約7.8kmで地球周回軌道に入り、約90分で地球を一周日〜週単位の滞在で、夜明けやオーロラ、街の光を繰り返し眺められます。準備や費用は大きくても、地球とともに暮らす体験ができるのはオービタルだけです。

オービタル旅行の魅力

オービタル旅行は、地球とともに過ごす体験です。低軌道では約90分で地球を1周するため、1日におよそ16回の昼夜サイクルを経験し、都市の灯やオーロラが眼下に広がります。数日から数週間の滞在で、微小重力環境での生活そのものが非日常の体験となります。

オービタル旅行の実績と、今後公表されている民間ミッション

2026年7月時点で、民間人が「軌道へ行く」仕組みは、役割の異なる複数のプレイヤーで成り立っています。
① ISSに滞在する民間宇宙飛行(PAM)を企画・統合するのがAxiom Spaceで、NASAは今後のミッションにAxiom・Vast・Voyager Technologiesの3社を選定しています。
② 打ち上げ・往復輸送を担うのがSpaceX(Crew Dragon)で、ISSに寄らない民間周回ミッションも実施しています。
さらに歴史をさかのぼると、2001年からSpace Adventuresがソユーズを使ったISS滞在を仲介してきました。
いずれも「実施済み」「NASAが選定・計画公表済み」「問い合わせは可能だが座席販売は未公表」の段階が混在しており、一般旅行のように日程と価格を選んで購入できる商品ではない点に注意が必要です。

会社役割現状(2026年7月)
アクシオム・スペース
(米)
ISS民間ミッション
(PAM)の企画・統合
Ax-1〜Ax-4を実施(4回)。
次回Ax-5は2027年1月以降を目標
Vast
(米)
ISS民間ミッション
(第6回)の企画
NASAが2026年2月に選定。
2027年夏以降を目標/輸送はSpaceX
Voyager Technologies
(米)
ISS民間ミッション
(第7回・VOYG-1)の企画
NASAが2026年4月に選定。
2028年以降を目標/乗員は審査前
スペースX
(米)
打ち上げ・往復輸送
(Crew Dragon)+ISS非経由の民間周回
Inspiration4/Polaris Dawn/Fram2 の実績。
次回周回便の日程・公開価格は未公表
スペースアドベンチャーズ
(米)
過去のソユーズ便
(ISS滞在)の仲介
2001–2009・2021に実施。
次回の具体的な飛行日程は未確認
Radian Aerospace
(米)
将来型宇宙往還機
(Radian One)の開発
開発中。有人商業運航の時期・旅行価格は未公表

民間人が軌道飛行に関わる主な仕組みは、ISS滞在(Axiom・Vast・Voyagerが企画)と、ISSに寄らない民間周回(SpaceXが実施)に整理できます。両者は競合ではなく、ミッションを企画する会社と、輸送する会社(SpaceX)が補完し合う関係です。なお、2000年代の先行事例としてSpace Adventuresによるソユーズ便の歴史も重要です。

アクシオム・スペース(Axiom Space)スペースX(SpaceX)
主な役割ISSへの民間宇宙飛行(PAM)を企画・統合宇宙船(Crew Dragon など)を運用・輸送し、民間周回ミッションも実施
体験内容ISSに滞在(過去実績は約8〜18日、ミッションにより変動)し、宇宙飛行士と生活ISSに寄らない地球周回(Inspiration4/Polaris Dawn/Fram2 など実績)
費用目安1席:6,000万ドル台半ば(Axiomが2024年に示した10日ミッションの参考価格)一般公開された定価はなし(個別ミッションごとに組成。報道で座席推計例はあるが確定価格ではない)
関係ミッションを企画・統合する中核。輸送はSpaceXと契約Axiom・VastのISSミッションでも往復輸送を担当
将来の展望PPTM(Payload Power Thermal Module)をISSへ接続後、早ければ2028年に分離し自由飛行型のAxiom Stationへ移行。Habitat 1などを順次追加する構想Starshipなど次世代機で輸送能力・頻度を上げる構想(旅客価格は未確定の「目標・構想」段階)

1. アクシオム・スペース:ISSへの民間有人ミッションを企画・統合する中核

ISSに滞在する体験を、商業ミッションとして継続的に企画・統合しているのがアクシオム・スペースです。輸送はSpaceXのCrew Dragonを使い、ミッション全体(訓練・運用・NASA調整)をパッケージ化して提供します。近年のミッションは純粋な富裕層旅行というより、各国の政府・宇宙機関による有人宇宙飛行、科学研究、技術実証、教育・広報の性格が強くなっています。

  • 費用の目安:
    Axiomは2024年2月のリリースで、「10日ミッションで1席あたり6,000万ドル台半ば」と説明しています(2024年時点の目安であり、2026年の確定価格ではありません)。
    (出典:Axiom Space 公式リリース)
  • 次のミッション(Ax-5):
    NASAとAxiomは、第5回PAM(Axiom Mission 5)を「2027年1月以降」目標として公表しています。ISS滞在は最大14日が想定されています。なお、提案される乗員は今後NASAと国際パートナーの審査を受ける段階で、日程・空席が公開された旅行商品ではありません。
    (出典:NASA 公式発表)
ミッション打上げ/帰還ISS滞在の目安特徴
Ax-1(2022)2022/4/8 → 2022/4/25約17日間(ミッション全体)民間運営による初のISS有人ミッション(船長は元NASA宇宙飛行士)
Ax-2(2023)2023/5/21 → 2023/5/30軌道上 約8日間サウジ初の女性宇宙飛行士が参加
Ax-3(2024)2024/1/18 → 2024/2/9ISSドッキング 約18日間各国宇宙飛行士が参加する民間ミッション
Ax-4(2025)2025/6/25 → 2025/7/15ISS滞在 約18日間インド/ポーランド/ハンガリーのISS初参加
Ax-5(計画)2027年1月以降(目標)最大14日間(予定)NASAの第5回PAMとして選定。乗員はNASA審査前

2. Vast/Voyager Technologies:NASAが選定した次のISS民間ミッション

NASAは2026年、ISSへの今後の民間宇宙飛行ミッションについて、Axiomに加えてVastVoyager Technologiesを選定しました。いずれも輸送はSpaceXが担い、乗員は今後の審査を経て決まります。

  • Vast(第6回・2027年夏以降):
    NASAは2026年2月、第6回民間宇宙飛行ミッションの提供会社にVastを選定しました。2027年夏以降を目標に、ISS滞在は最大14日、往復輸送はSpaceXと契約されています。乗員は今後審査されます。
    (出典:NASA 公式発表)
  • Voyager Technologies(第7回・VOYG-1・2028年以降):
    NASAは2026年4月、第7回ミッション「VOYG-1」の提供会社にVoyager Technologiesを選定しました。2028年以降を目標に、ISS滞在は最大14日、乗員は今後審査されます。
    (出典:NASA 公式発表)

3. スペースX:輸送とISS非経由の「民間周回」を担うプレイヤー

スペースXは、ISSへの輸送(商業クルー運用)に加え、ISSに立ち寄らない民間周回ミッションも実施してきました。AxiomやVastのISSミッションでも、Crew Dragonが往復の輸送を担います。ただし、ISSに寄らない民間周回便について、一般向けの定期運航スケジュールや公開座席価格は示されていません。

  • Inspiration4(2021):
    SpaceXは2021年に、民間人だけで地球を周回するInspiration4を実施しました。
    (出典:SpaceX 公式ページ)
  • Polaris Dawn(2024):
    Polaris Programは、2024年9月10日に打ち上げ、9月15日に帰還したと公表しています(商業宇宙遊泳などの目標を含む)。
    (出典:Polaris Program 公式ページ)
  • Fram2(2025):
    SpaceXは、2025年3月31日(米国東部時間。UTCでは4月1日)に打ち上げ、4月4日に帰還した「極軌道の民間有人ミッション」として公表しています。
    (出典:SpaceX 公式ページ)
  • 将来の構想「Starship」:
    SpaceXはStarshipで輸送の頻度・能力を上げる構想を掲げています。ただし旅客価格は確定情報が少なく、現時点では「目標・構想」段階として扱うのが安全です。
    また、前澤友作氏が契約した月周回ミッション「dearMoon」は、2024年6月に中止が発表されています。
    (出典:dearMoon 公式PDF)

まとめ:今は「購入できる旅行商品」ではなく、実績と計画で見る

オービタル旅行は、もはやSFだけの話ではありません。ただし2026年7月現在、一般旅行と同じように日程と価格を選んで購入できるオービタル旅行はありません座席数・日程・費用は依然として変動が大きく、情報の鮮度が重要です。

  • ISSに滞在する民間宇宙飛行(PAM):
    Axiom Spaceに加え、VastVoyager TechnologiesがNASAから将来ミッションに選定されています(次回Ax-5は2027年1月以降が目標)。
  • ISSに寄らない民間周回:
    SpaceXに実績(Inspiration4/Polaris Dawn/Fram2)がありますが、次回日程や一般向けの公開価格は示されていません。

検討する際は、「運航実績」「NASAによる選定」「具体的な飛行日程」「乗員募集の有無」「価格公開」の5項目を区別して確認するのがコツです。あなたの目的に合わせて、情報の見方を切り替えましょう。


公式サイトへの羅針盤(一次情報)

➡️ NASA 民間宇宙飛行ミッション(Private Astronaut Missions)

➡️ アクシオム・スペース 公式サイト

➡️ Vast 公式サイト

➡️ Voyager Technologies 公式サイト

➡️ スペースX 公式サイト

➡️ Polaris Program 公式サイト

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