月周回フライバイ- 究極の絶景「アースライズ」をこの目に
まず、最初に体験できる月旅行とは何でしょうか?
それは月面に降りる旅ではありません。
最初に現実となるのは「月を周回して帰る旅」です。
この方式なら、技術的ハードルも比較的低くなります。
しかも、月の裏側から地球が昇る瞬間。
つまり「アースライズ」を見ることができるのです。
軌道図で見る月周回旅行の全体像
NASAやカナダ宇宙庁が公開している図から月旅行の流れが一目で分かります。

この軌道は「フリーリターン方式」を採用。
月を1周して、地球へそのまま帰還します。
燃料を節約しつつ、安全性も高い設計です。
打ち上げから帰還まで、所要時間は約10日。
月の裏側から地球が昇る「アースライズ」も見られます。
出典:Canadian Space Agency – Artemis II mission profile
一般人の月旅行はいつ実現?費用はいくらか?
人類の月旅行が、いよいよ現実味を帯びてきました。
かつては夢物語だったこの旅が、技術の進歩とともに動き出しています。
月周回旅行 現行予約可含む概要マップ
企業 | 商品名 | 予約可否 | 払ったら行ける時期 |
---|---|---|---|
Space Adventures | DSE‑Alpha | 可 (残り1席) | 未定(2030年代との見方) |
SpaceX | Starship Charter | 不可 (個別議討のみ) | 2028〜2030年以降 |
Blue Origin | Blue Moon (Mark2) | 未定 | 2030年ごろ |
月旅行の費用は?
では、月旅行の費用はいくらかかるのでしょうか?
結論から言えば、1人あたり100億円超です。
Space Adventures社が過去に提示した価格では、
約1億5千万ドル(約150億円)とされています。出典:Wikipedia – Tourism on the Moon(Space Adventuresの価格設定)
これは月を周回する旅、つまり「月面着陸なし」の費用です。
それでも、ISS旅行の2~3倍という超高額。
現段階では“超富裕層専用”のレベルにあります。
イーロン・マスク氏の価格に関する発言
しかし、将来的には価格の低下も期待されています。
SpaceX CEOのイーロン・マスク氏は次のように述べています:
“Starship launches will cost less than $10 million within two or three years.”
— イーロン・マスク(2022年2月、SpaceX発表会にて)
また、2019年には次のようにも語っています:
“The full mission cost may be as little as $2 million, with fuel costing around $900,000.”
— イーロン・マスク(2019年講演、スターシップ運用コストの説明)
このように、スターシップの再使用によって打ち上げコストが劇的に低下すれば、
「月旅行も数千万円〜数億円で可能になる未来がある」と考えられています。
出典:Business Insider – Elon Musk confident Starship launch cost will drop below $10 million
出典:Space.com – Elon Musk: Starship launch could cost $2M per flight
主要プレイヤーと最新動向

実施主体 | 目標時期 | 主な内容 |
---|---|---|
NASA (アルテミスII) | 2026年4月以降 | 月周回(アルテミス初の有人周回飛行) |
スペースX (Polaris Program) | 未定 | スターシップ初の有人飛行 |
アルテミスIIが切り拓く未来
最初の有人月周回は、NASAのアルテミスII。
現在の公式発表では、2026年4月以降の打ち上げ予定です。 (出典:NASA公式 – Artemis II)
オリオン宇宙船に4人の飛行士が搭乗予定。
約10日間で月を周回し、地球へ帰還します。
ちなみに、これが成功すれば、民間旅行の実現も近づきます。
アルテミスII:有人周回ミッションの幕開け
最初の大きな一歩となるのが「アルテミスII」です。
これはNASAによるアルテミス計画初の有人飛行です。
乗員は4人。宇宙船は「オリオン」が使用されます。
飛行期間は約10日間、月を周回し地球へ戻ります。
このミッションでは重要な技術が試されます。
たとえば、熱シールドや生命維持装置などです。
なお、打ち上げは2026年4月以降と発表されています。
成功すれば、月探査の実現が一歩近づきます。
出典:
民間月旅行とスペースXの展望
一方、民間による月旅行も注目されていました。
中でも有名だったのが「dearMoon計画」です。
しかし残念ながら、これは2024年に中止されました。
スターシップの開発遅延が主な理由です。
しかし、すべてが止まったわけではありません。
スペースXは、引き続き月飛行の実現を目指しています。
その最終段階で、スターシップの有人飛行を予定。
これが実現すれば、民間月周回が再び動き出すでしょう。
出典:
技術的な課題
このフェーズで最大の課題は「宇宙船の安全性」です。
中でも、大気圏再突入時の熱処理が難関です。
宇宙船は地球に時速4万kmで戻ってきます。
この時の摩擦熱に耐える熱シールドが必要です。
加えて、生命維持装置の信頼性も欠かせません。
長期間の宇宙滞在を安全に支える技術が求められます。
これらの課題を克服することが、成功の鍵となります。
今後の展望と可能性
SpaceXやBlue Originなどの民間企業も、
月旅行の実現に向けて開発を進めています。
とはいえ、安全性やコストの壁は依然として高く、
2030年代の実現が現実的と見る専門家もいます。出典:Space.com – The Polaris Program and Future of Civilian Spaceflight
まとめ:月旅行の最新情報
項目 | 内容 |
---|---|
いつ? | 最短で2026年(アルテミスII)で有人周回飛行。商用は2028〜2030年以降(スペースX) |
所要日数 | 約10日間(月周回のみ) |
費用 | 約1.5億ドル(約150億円) |
観賞体験 | アースライズ、無重力、宇宙船 |
課題 | 費用、安全性、技術開発 |