宇宙旅行と聞いて、あなたが真っ先に思い浮かべるのは、きっと「無重力(無重量)」の世界ではないでしょうか?
体がふわっと浮き上がり、スーパーマンのように空中を自由に飛び回る…。そんなSF映画のようなシーンを、一度は夢見たことがあるはずです。
でも、実際のところ、無重力ってどんな感覚なのでしょう?
そして、「宇宙に行くと気持ち悪くなる」なんて噂も聞くけど、それって本当…?
今回は、そんな無重力の世界のリアルについて、宇宙飛行士たちの生の声や科学的な事実を基に、あなたが宇宙にいるかのような気分で読めるよう、徹底解説していきます!
無重力の正体は「永遠に落ち続ける感覚」!?
まず、驚きの事実から。
国際宇宙ステーション(ISS)が飛んでいる高度約400kmでも、実は地球の重力は地上の約90%もかかっています。
「え、じゃあなんで体が浮くの?」
その秘密は、宇宙船が地球の周りを猛スピードで「落下し続けている」からなんです。
ジェットコースターが頂上から落ちる瞬間、一瞬フワッと体が浮く感覚がありますよね?あれが、ずーっと、永遠に続いている状態。それが無重力の正体です。つまり、宇宙飛行士たちは、常に地球に向かって落ち続けているのです!
宇宙飛行士が語る「無重力」のリアルな感覚
では、その「永遠の落下」は、具体的にどんな感覚なのでしょうか?宇宙飛行士たちの証言を覗いてみましょう。
感覚①:最高の「浮遊感」と「解放感」
宇宙に到着して、体がシートからフワッと浮き上がった瞬間。多くの宇宙飛行士が、人生で最高の体験の一つだと語ります。
- まるで水の中を漂うイルカのよう:重さから解放され、手足を動かすだけでスーッと進む。壁を蹴れば、くるりと回転しながら部屋の向こうまで飛んでいける。
- スーパーマンになった気分:JAXAの野口聡一宇宙飛行士も「鳥になったような気分」と表現するように、まさに三次元空間を自由に飛び回れる、究極の解放感を味わえます。
この爽快感こそ、私たちが無重力に抱く、一番の憧れかもしれませんね!
感覚②:ちょっと困る「体の変化」
しかし、無重力は楽しいことばかりではありません。体の中では、地上ではありえない変化が起こります。
- 顔がパンパンに!「ムーンフェイス」
地上では重力で下半身に集まっていた血液や水分が、無重力では上半身に移動します。その結果、顔がパンパンにむくんでしまうのです。これを宇宙飛行士たちは「ムーンフェイス」と呼んでいます。 - 鼻詰まりと頭の圧迫感
同じ理由で鼻が詰まったり、逆立ちした時のような圧迫感を頭に感じたりすることも。宇宙では風邪をひいていなくても、鼻声になってしまう人が多いそうです。
最高の浮遊感と、ちょっとした体の不調。この二つが同居するのが、無重力のリアルな姿なのです。
「宇宙酔い」は本当?その原因とリアルな症状
さて、もう一つの大きな疑問、「宇宙酔い」についてです。
結論から言うと、これは本当です。
専門用語では「空間識応障害(くうかんしきおうしょうがい)」と呼ばれ、宇宙飛行士の半数以上が経験する、ごく一般的な症状なんです。
なぜ「宇宙酔い」が起こるの?
原因は、あなたの脳がパニックを起こすからです。
私たちの脳は、「目から入る情報」と「耳(三半規管)から入る平衡感覚の情報」を統合して、体のバランスを保っています。
- 地上では…
目:「床が下、天井が上」
耳:「重力は下にかかっている」
→ 情報が一致していて、脳は安心。 - 宇宙では…
目:「さっきまで床だった壁が、今は天井に見える!?」
耳:「重力がどっちにかかってるかわからない!」
→ 情報がバラバラで、脳が大混乱!
この脳のパニックが、乗り物酔いと同じように、吐き気、めまい、頭痛といった症状を引き起こすのです。
宇宙飛行士も悩まされるけど、必ず慣れる!
歴戦の宇宙飛行士でさえ、最初の数日間はこの宇宙酔いに苦しむことがあります。しかし、人間の脳は非常に優秀。ほとんどの場合、2〜3日もすれば新しい環境に脳が適応し、症状は自然に治まります。
宇宙に行くには、この「脳の慣らし運転」期間が、避けては通れない道なのですね。
まとめ:最高の体験には、ちょっとした代償も
無重力の世界、いかがでしたか?
最高の体験 | ちょっとした試練 | |
無重力の感覚 | スーパーマンのような最高の浮遊感と解放感 | 顔のむくみや鼻詰まりといった体の違和感 |
身体の反応 | 究極の非日常へのワクワク | 半数以上が経験する「宇宙酔い」 |
無重力は、地球のしがらみから解放される、魔法のような感覚です。しかしその一方で、私たちの体が新しい環境に適応するための、ちょっとした試練も待っています。
でも、それもすべて含めて「宇宙旅行」。そのユニークで不思議な感覚を体験できることこそ、何物にも代えがたい魅力なのかもしれません。あなたもいつか、この不思議な感覚を味わってみませんか?