気球で「宇宙」へ——2026年、いよいよ実現か?新しい旅の全貌

最終更新日:2026年2月18日
本記事は、「高高度気球(成層圏)による宇宙遊覧/宇宙体験」に関する公開情報を、読者が原文を直接確認できる資料(公式規約、自治体・公的資料、企業の公式発表/公式サイト)を中心に整理しています。一次資料でも確約や契約条件を意味するとは限らないため、根拠タイプ(A〜E)で区分して記載します。
「いつ飛ぶか」「いくらか」「条件は何か」は変動しうるため、確定情報と未確定情報を分けて記載します。※円換算は便宜上 $1=¥150 / €1=¥160 で計算しています。為替により変動します。

成層圏を飛ぶ高高度気球のキャビンと、地球の湾曲と日の出が見えるイメージ
高高度気球で成層圏(Near Space)へ。地球の丸みと日の出を眺める宇宙体験のイメージ。

気球で「宇宙」へ——2026年、いよいよ実現か?新しい旅の全貌

ロケット不要・(多くは)数千万円台で成層圏へ。2026年の一般搭乗・運航開始に言及がある企業を、根拠タイプ(公式規約/公的資料/公式発表/主要報道/公式サイト)で整理し、予約前に見るべきポイントを示します。

はじめに:気球で行く「宇宙体験」は、2026年にどこまで現実か?

「週末、宇宙行ってくる」——そんな会話が、冗談ではなくなりつつあります。

ただし、ここで言う「宇宙」は、ロケットで地球周回軌道に行く話ではありません。高高度気球で成層圏(Near Space)へ上がる体験です。

2026年2月時点で、複数の企業が商用化を目指しています。ただし「いつ飛ぶか」を支える根拠(公式規約・公的資料・公式発表・主要報道など)の種類と揃い方は企業ごとに異なります。

出典: 郡山市公式:広報こおりやま(2026年2月号掲載内容)(一次)/ OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(価格・飛行時間など)(一次)


第1章:高高度気球とは?ロケットとの違い

まず押さえるべき前提:「宇宙」の定義

一般に「宇宙の境界」の基準として、国際航空連盟(FAI)は高度100km(カーマン・ライン)を採用しています。

一方で、高高度気球が到達するのは主に成層圏(おおむね18〜40km級)です。厳密には宇宙ではありません。

Q. カーマン・ラインって何?

A. 宇宙の境界を表す「慣習的な線」です。FAIなどは高度100kmを境界として扱います。気球の到達高度(数十km)は、その手前の成層圏です。

Q. 「成層圏」って、どのくらい高い?

A. 地上の天気が起きる対流圏の上にある層で、おおむね10〜50km付近までを指します。高高度気球はこの領域に入ります。

出典: FAI:Statement about the Karman Line(100km)(一次)/ NOAA:Layers of the Atmosphere(成層圏の層)(一次)

成層圏で「何が見える」のか

成層圏では、地平線が大きく湾曲し、空が濃い青から黒に近づいていきます。条件が良ければ星が見えると語られることもあります(見え方は天候・太陽高度・窓の反射などで変わります)。

  • 地球の丸み(地平線の湾曲)
  • 空の色の変化(青→濃紺→黒に近い)
  • 雲海の上に広がる「青い地球」
  • 高度18〜40kmでは、地平線までの距離は幾何学的概算で約480〜720km級

出典: NASA GSFC:Distance to the Horizon(地平線距離の計算)(一次)

ロケットとの3つの違い(価格・時間・準備)

  1. 価格:気球は「数千万円〜数千万円台後半」が主戦場(ただし例外的に安価な主張のケースもあります)。ロケットに比べて桁が低い。
  2. 滞在時間:成層圏で1〜2時間級、総飛行は4〜6時間級を掲げる例がある。
  3. 準備:「宇宙飛行士級の長期訓練」を前提としない設計を掲げる企業が多い(ただし条件は各社規約で確認が必須)。

出典: OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(4〜6時間、0.8気圧など)(一次)/ Zephalto:CGV(6時間・25kmなど)(一次)/ HALO Space:FAQ(4〜6時間など)(一次)

仕組みを簡単に(熱気球ではなく、ガス気球)

高高度気球は、観光地の熱気球とは別物です。浮力の作り方が違います。

  • 熱気球:温めた空気の浮力(到達高度は通常数km級)
  • 高高度気球:ヘリウムなどのガスの浮力(成層圏=数十km級を狙う)

客室は、与圧キャビン(密閉カプセル)です。外は低圧・低温ですが、キャビン内は航空機に近い環境に保つ設計が一般的です。

出典: OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(0.8気圧の記載)(一次)


第2章:2026年、誰が本当に飛ぶのか(根拠タイプ別に整理:一次情報/公式規約/主要報道)

2026年2月現在、複数の企業が商用化を語っています。ただし、根拠(公式規約・公的資料・公式発表・主要報道)の「種類」と「揃い方」は企業ごとに異なります。

🇯🇵 岩谷技研(日本):自治体広報で「今夏にも一般搭乗」と紹介

根拠:B+C+E(「今夏」=自治体広報/到達高度=公式発表/価格・時間など=公式サイト掲載)

郡山市公式サイトでは、2026年2月号の掲載内容として「多くの課題を解決し、今夏にも一般の方を乗せた宇宙遊覧が実現できそう」と紹介されています。これは自治体広報での紹介(B)であり、契約条件や確約を意味するものではありません(天候・安全審査・運用準備で変動します)。

また岩谷技研は、2024年7月17日の有人飛行試験で国内の気球有人フライトとして最高となる高度20,816mに到達したと発表しています(C)。

出典: 郡山市公式(広報こおりやま掲載内容)(一次)/ 岩谷技研:高度20,816m到達(2024/07/18)(一次)/ OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(価格・飛行時間・試験回数など)(一次)/ JAL:岩谷技研との協業発表(OPEN UNIVERSE PROJECT参画)(一次)

🇪🇸 イオス・エックス・スペース(EOS-X Space/スペイン):買収で再編中。価格レンジは企業発表あり

根拠:C+D(買収=主要報道/価格レンジ=企業発表の配信)

イオス・エックス・スペース(EOS-X Space)は2025年7月にSpace Perspectiveを買収したと報じられています(D)。買収後は体制再編の局面に入りやすく、運航開始時期の見通しは変動し得ます。

一方で、価格レンジ(1席あたり€150,000〜€200,000)は企業発表(プレスリリース配信)として明示されています(C)。

ただし、商用運航の「確定日程」は一次情報(規約や公式の確定スケジュール)として固定されていないため、予約検討時は最新の公式告知を必ず確認してください。

出典: Space.com(買収報道)(二次)/ Travel Weekly(買収報道)(二次)/ PR Newswire(価格レンジの記載:企業発表の配信)(一次相当:企業発表)

🇫🇷 ゼファルト(Zephalto/フランス):次のフライト枠は「2027年1月以降」と規約に明記

根拠:A(公式規約CGVに明記:フライトウィンドウ/価格/デポジット)

ゼファルト(Zephalto)は、公式規約(CGV)で「現在利用可能な次のフライトウィンドウは2027年1月から」と記載しています。つまり2026年中の商用飛行は前提にされていません(A)。

価格は公式規約で€180,000、予約には20%のデポジットが必要とされています(A)。

出典: Zephalto:CGV(次のフライトウィンドウ=2027年1月〜、€180,000、デポジット等)(一次)

🇪🇸 ハロ・スペース(HALO Space/スペイン):公式情報に「late 2027有人試験」等。ただしFAQ内で年次の記述が揺れる

根拠:E(公式サイト/FAQの記載。年次表現に揺れがあるため、確定日程として固定できない)

ハロ・スペース(HALO Space)は公式サイトで、2026–2027の試験キャンペーンを経て、2026年後半にサウジアラビアで無人試験を計画し、有人試験は「2027年後半(late 2027)」を目標にすると記載しています(E:技術準備と規制認可に依存)。

一方で、公式FAQの一部には「商用フライトは2026年開始」「有人試験は2025年」といった記述もあり、同じFAQ内でも箇所によってタイムラインの表現が異なります。現時点ではタイムラインを確定日程として固定できないため、予約検討時は公式の最新更新(更新日・整合性)を必ず確認してください。

価格は公式FAQで€150,000、デポジットは不要(待機リスト方式)とされています。また、定員はパイロット1名+乗客8名、飛行時間は4〜6時間、到達高度は35km級と説明されています(いずれもFAQの説明に基づくため、最終条件は規約・正式販売条件で確認してください)。

出典: HALO Space公式(2026–2027試験キャンペーン、2026後半無人試験、late 2027有人試験の記載)(一次)/ HALO Space:FAQ(€150,000/デポジット不要/定員・高度・時間/タイムライン記述あり)(一次)

🇮🇳 スペース・オーラ(Space Aura/インド):「2026年夏開始」を公式サイトで主張

根拠:E(公式サイトの主張。外部資料・当局手続き・保険等の追加確認が必要)

スペース・オーラ(Space Aura)は公式サイトで「Space flights will commence in the summer of 2026」「4席予約済み」と記載しています。デポジットは₹85,000($1,000)、導入価格は₹50 lakh($58,000相当)とされています(いずれも公式サイト記載=E)。

同社は到達高度を100,000ft(約30km)、定員を観光客6名+パイロット1名と説明しています。現時点では公式サイト上の記載以外に参照できる外部根拠が限定的なため、予約検討時は試験実績・当局手続き(所管・進捗)・保険の情報を必ず確認してください。

出典: Space Aura公式(開始時期・座席予約の記載)(一次)/ Space Aura:Reserve(₹85,000デポジット/₹50 lakh)(一次)/ Space Aura:SKAP1(定員・所要時間など)(一次)

🇺🇸 スペース・パースペクティブ(Space Perspective/米):買収後の再始動待ち

根拠:D(主要報道)。買収後の公式な運航計画・販売条件は最新の公式告知で確認が必要

スペース・パースペクティブ(Space Perspective)は、買収前に事業継続が疑われる状況が報じられています。現時点では、買収後の体制・予約再開・運航計画の更新を待つ状態です(D)。

出典: Travel Weekly(操業停止が疑われる報道)(二次)/ Space.com(買収報道)(二次)


第3章:価格と体験内容の比較(2026年2月時点)

ここでは、公式に確認できる価格・条件を中心に並べます。円換算は目安です(€1=¥160 / $1=¥150)。

企業価格(公表)定員到達高度(公表)総飛行時間(公表)
岩谷技研(日本)2,400万円(1回)2名(パイロット1+乗客1)18〜25km4〜6時間
ハロ・スペース(スペイン)€150,000(約2,400万円)パイロット1+乗客8(計9名)35km級(公式FAQの説明)4〜6時間
ゼファルト(フランス)€180,000(約2,880万円)公式サイト記載(要確認)25km6時間
イオス・エックス・スペース(スペイン)€150,000〜€200,000(約2,400〜3,200万円)8名(パイロット含む)とする資料あり40,000m(資料)5時間(資料)
スペース・オーラ(インド)₹50 lakh/seat($58,000相当)6名+パイロット100,000ft(約30km)約6時間
※価格・仕様は更新されます。予約前に必ず公式で確認してください。

出典: OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(2,400万円・4〜6時間・18〜25km)(一次)/ HALO Space:FAQ(€150,000/定員/高度/時間)(一次)/ Zephalto:CGV(€180,000/25km/6時間など)(一次)/ PR Newswire(EOS-X:€150k〜€200k、40,000m、5時間の記載:企業発表の配信)(一次相当:企業発表)/ Space Aura:Reserve(₹50 lakh・₹85,000)(一次)/ Space Aura公式(100,000ft、4席予約の記載)(一次)

2,400万円は高いのか?(結論:宇宙文脈では“破格”だが、条件を読むべき)

2,400万円は高額です。ただし「宇宙旅行」の文脈では、ロケット系より低い価格帯です。

岩谷技研は、将来的に100万円台を目指す趣旨の発言が報じられています。また、使用後ヘリウムの95%回収・再利用をうたう記事もあります(いずれも報道ベースです)。

出典: ITmedia(当初2,400万円・10年後100万円台の言及)(二次)/ EE Times Japan(ヘリウム95%回収の言及)(二次)


第4章:本当に安全なのか?(分かっていること/いないこと)

結論から言うと、「国際的に統一された“観光用・成層圏気球”の安全基準が一般向けに確立・公開されている」わけではありません。ただし、リスクの種類は見えています。

最大の現実:天候依存(予定通りに飛べない)

高高度気球の最大の制約は天候です。風・雲・降水で、打上げ可否が変わります。つまり「予定日に飛べない」可能性は常にあります。

もう1つの現実:許認可・空域(「飛ばせるか」は当局の枠組みに依存)

「技術的に飛べる」ことと、「当局の枠組みの中で飛ばせる」ことは別です。特に有人カプセルを吊り下げる高高度気球は、空域の安全確保・運航体制・緊急時手順などが問われます。

たとえば日本では、国土交通省が航空法第134条の3に関連して、気球などが航空機の航行に影響するおそれがある場合の許可・通報について整理しています(区域によって扱いが異なります)。欧州でも、有人気球の観光フライトは商用運航として規制枠組みが説明されています。成層圏カプセルの詳細は事業者ごとに異なるため、どの当局のどの手続きが必要で、今どこまで進んでいるかは個別に確認が必要です。

出典: 国土交通省:航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(気球等)/航空法第134条の3(許可・通報)(一次)/ AESA(スペイン航空安全庁):観光目的の気球フライトの規制枠組み(FAQ)(一次)

公式サイトにある「安全性の数値」は、前提の確認が必須

OPEN UNIVERSE PROJECTの公式ページには「重篤事故率 0.0000082%」などの数値が掲載されています。ただし、定義・算出前提・第三者検証の有無は別問題です。この数値が「当該サービス固有の統計」なのか「別統計の引用」なのか、ページ上だけでは判別できないため、契約前に確認が必要です。

出典: OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(重篤事故率0.0000082%の記載)(一次)

成層圏は「極限環境」:紫外線と放射線は増える

高度が上がるほど、地表で吸収される紫外線が増えます。WHOは「高度1,000m上がるごとにUVが約10%増える」としています。

また、航空分野では宇宙線(電離放射線)への注意喚起があり、FAAは機内被ばくに関する勧告資料(AC 120-61B)を公開しています。高高度気球では高度がさらに上がるため、扱いは各社の設計・運用・規約で確認が必要です。気になる人は、事前に医師へ相談してください。

出典: WHO:UV radiation(高度とUV)(一次)/ FAA:AC 120-61B(In-flight Radiation Exposure)(一次)


第5章:予約する前に知っておくべきこと(損しないための順番)

1)規約(Terms)を読む:成立条件と返金条件が最重要

「いつ飛ぶか」より先に、成立条件(最低高度・総時間など)と返金条件を確認してください。ここが曖昧だと、延期が続いた時に詰みます。

ゼファルトのように、フライトウィンドウの扱いを規約で明記している例もあります。

出典: Zephalto:CGV(フライトウィンドウ等)(一次)

2)デポジットと支払い:返金可否・支払いタイミングを固定で確認

多くの事業者はデポジット制です。返金不可のケースもあります。予約前に「返金できる条件」を文面で確認してください。

出典: Zephalto:CGV(デポジット、返金条件など)(一次)/ Space Aura:Reserve(₹85,000デポジット)(一次)

3)透明性チェック:試験実績・認可・保険の“資料”が出ているか

  • 有人/無人の試験回数が公開されているか
  • 到達高度の記録(いつ・どこで)が明記されているか
  • 規制当局の扱い(許認可・空域・運航枠組み)が説明されているか(「どの手続きが必要で、現状どこまで進んでいるか」まで)
  • 保険・免責・緊急時のプロセスが書面で示されているか

出典: OPEN UNIVERSE PROJECT:TECHNOLOGY(試験回数など)(一次)/ HALO Space公式(試験キャンペーンの説明)(一次)

4)タイムラインは「1〜2年遅れ」を前提に持つ

過去に“予定”が後ろ倒しになった例は複数あります。特に新興企業は、技術・資金・規制で遅れが起きやすいです。

出典: Travel Weekly(Space Perspectiveの状況)(二次)


第6章:この技術が変える未来(民主化・科学・防衛)

宇宙の民主化:ロケット以外の“入口”ができる

岩谷技研や共創プロジェクトは「宇宙の民主化」を掲げています。価格が下がれば、「宇宙を見る体験」が一部の人から広がる可能性があります。

出典: JALリリース(OPEN UNIVERSE PROJECTの説明)(一次)

科学と防衛:成層圏プラットフォームは“観光以外”でも伸びている

高高度気球は、観光だけでなく、リモートセンシングや政府・研究用途でも使われています。用途が広がるほど、技術成熟が進む余地があります。

出典: World View公式(防衛・エネルギー・科学研究などの用途)(一次)/ SNC(World Viewプラットフォームの政府用途・C5ISR等への言及)(一次)

「地球を見る体験」が人を変える:オーバービュー効果は近宇宙でも語られる

ゼファルトは公式サイトで「Overview Effect(オーバービュー効果)」を前面に出しています。成層圏でも、地球の湾曲を見る体験が人の認識を揺らす可能性はあります。

出典: Zephalto:Experience(Overview Effectの記載)(一次)


まとめ:2026年は「様子見」と「準備」の年

2026年2月時点で言えるのは、こうです。

  1. 確度が高いのは「岩谷技研」(自治体広報+公式発表の積み上げがある)
  2. 2026年に飛ぶと断言できない企業も多い(試験・買収・規制で変動する)
  3. 予約で損しない鍵は「規約」(成立条件・延期・返金が全て)

出典・参考情報

【一次情報(公式・公的機関)】

【二次情報(報道・解説)】

※ 最新情報や詳細は必ず公式サイトをご確認ください。

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