更新日:2025年8月31日 |本記事は、SpaceX社・Axiom Space社など各社の公式発表(一次情報)を基に、価格や旅行条件など未公開の要素については信頼できる報道や公開資料(二次情報)を補足し、構成しています。
オービタル旅行は、地球周回軌道に乗り、数日〜数週間の滞在で継続的な無重力と地球の全景を体験する本格的な宇宙旅行です。
本ページでは、主要プロバイダーの情報に基づいて整理し、今すぐ計画したい方にも、将来に備えたい方にも役立つ最新情報をご案内します。
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※民間人のオービタル旅行は2001年にスペースアドベンチャーズ社が開始し、その後中断を経て2021年に再開されました。
- オービタル旅行の運航状況と予約可能なフライト
- オービタル旅行の企業別のプラン・費用比較
- オービタル旅行の企業別体験内容
オービタル旅行とは?
オービタルとサブオービタルの違い
サブオービタルは高度約100kmまで弾道飛行し、無重力はわずか数分。宇宙を“体験する入口”です。
一方オービタルは秒速7.8kmで地球周回軌道に入り、90分で地球を一周。日〜週単位の滞在で、夜明けやオーロラ、街の光を繰り返し眺められます。準備や費用は大きくても、地球とともに暮らす体験ができるのはオービタルだけです。
オービタル旅行の魅力
オービタル旅行は、地球とともに過ごす究極の体験です。90分ごとに夜明けと夕暮れが巡り、都市の灯やオーロラが眼下に広がります。数日から数週間の滞在で、無重力の生活そのものが非日常の贅沢となり、一生忘れられない体験となります。
オービタル旅行の運航状況と予約可能なフライト
現在、この究極の体験を提供しているのは、民間宇宙開発の巨人たち。NASAと連携し、国際宇宙ステーション(ISS)への扉を開く「アクシオム・スペース社」と、宇宙輸送に革命を起こし続ける「スペースX」です。
現在、民間人が参加できる軌道飛行は、主に2つの企業によって実現されています。それぞれのアプローチは大きく異なります。
アクシオム・スペース(Axiom Space) | スペースX(SpaceX) | |
主な事業 | ISSへの民間宇宙飛行ミッションの企画・販売 | 宇宙船(Crew Dragon, Starship)の開発・運用 |
体験内容 | ISSに約10日間滞在し、宇宙飛行士と生活 | 独自の地球周回ミッション(過去実績あり) |
現在の費用目安 | 1席 6,000万ドル台半ば | 1席 約5,500万ドル(周回ミッションの場合) |
特徴 | 現在、唯一商業的にISS滞在を提供する企業 | アクシオム社のミッションでも輸送手段として利用される |
将来の展望 | 独自の商業宇宙ステーション「Axiom Station」の建設 | 大型宇宙船「Starship」による大量輸送とコストダウン |
1. アクシオム・スペース – ISS滞在への唯一の扉
現在、あなたが「宇宙ホテル」とも言える国際宇宙ステーション(ISS)に滞在したいと願うなら、その扉を開けてくれるのはアクシオム・スペース社だけです。
- 具体的なプランと費用:
同社が提供するのは、約10日間のISS滞在ミッション。その費用は、2024年2月時点で1席あたり6,000万ドル台半ば(約90億円〜)と公表されています。この価格には、スペースX社の宇宙船による往復運賃、NASAに支払う滞在費(食料・水など)、そして数ヶ月にわたる地上での本格的な訓練費用などがすべて含まれています。 - 豊富なミッション実績:
アクシオム・スペースは、すでにNASAとの協力のもと、数々の歴史的なミッションを成功させています。
ミッション | 期間 | 特徴 |
Ax-1 (2022年4月) | 17日間 | 民間人のみで初めてISSに滞在。歴史を創ったミッション。 |
Ax-2 (2023年5月) | 10日間 | サウジアラビア初の女性宇宙飛行士が参加。 |
Ax-3 (2024年1月) | 18日間 | ヨーロッパ各国の宇宙飛行士が参加する、初の国家派遣ミッション。 |
Ax-4 (2025年6月予定) | 18日間 | インド、ポーランド、ハンガリーから初の宇宙飛行士が参加予定。 |
- 未来への展望 – 商業宇宙ステーション「Axiom Station」:
同社の最終目標は、ISSに自社モジュールを増設し、将来的にはそれを独立させた世界初の商業宇宙ステーションを運用することです。宇宙ホテルや軌道上の研究施設として、新たな宇宙経済圏を創り出すことを目指しています。
2. スペースX – 宇宙輸送の革命児が描く、未来の旅
イーロン・マスク氏率いるスペースXは、宇宙への「道」そのものを創り出す革命的な企業です。アクシオム社のミッションでも、彼らの宇宙船「クルー・ドラゴン」が、地球とISSを結ぶ唯一のタクシーとして活躍しています。
- 独自の周回ミッション「Inspiration4」:
スペースXは、ISSに立ち寄らずに地球を周回する独自の民間ミッションも実施しています。2021年の「Inspiration4」では、民間人4名が約3日間、地球の周回飛行を楽しみました。このミッションの総費用は2億ドル(1人あたり約5,500万ドル)と報じられています。 - 未来のゲームチェンジャー「Starship」:
スペースXの真の目標は、次世代の巨大宇宙船「Starship」による、宇宙輸送の完全な民主化です。- 破壊的なコストダウン: Starshipが完成すれば、100人以上を一度に宇宙へ運ぶことが可能になり、**1席あたりの価格は約200万ドル(約3億円)**まで下がると報じられています。これは、現在の価格の20分の1以下であり、宇宙旅行の概念を根底から変える可能性を秘めています。
- 現実的な課題: 一方で、Starshipの開発は遅延しており、日本人実業家・前澤友作氏が契約した月周回ミッション「dearMoon」は2024年6月に中止が発表されました。壮大な夢の実現には、まだ時間と乗り越えるべきハードルがあることも事実です。
まとめ – あなたが選ぶ、宇宙での豊かな時間
軌道飛行は、もはやSFの世界の出来事ではありません。それは、具体的な価格とスケジュール、そして確かな実績を持つ、現実の「旅の選択肢」です。
- 今すぐ、最高の体験を求めるなら。
アクシオム・スペースが提供するISS滞在は、費用こそ最高峰ですが、人類の叡智の結晶である宇宙ステーションで暮らすという、唯一無二で確実な体験を約束します。 - 数年後、より多くの人と宇宙を目指すなら。
スペースXのStarshipが拓く未来は、宇宙旅行をより多くの人々の手の届く場所へと引き寄せてくれるでしょう。その技術革新に期待し、来るべき日を待つのもまた、賢明な選択です。
あなたが求めるのは、確約された現在の最高峰か、それとも革命がもたらす未来の可能性か。どちらの旅も、地球という惑星の美しさと、人類の可能性を、あなたに教えてくれるはずです。