NAMES & CULTURE / 天体のことば
星の名前・神話・曜日の由来
空の名前は、観測の目印であると同時に、言葉と文化が伝わった記録でもある。
30秒でわかる答え
「火星」などの日本語名、古代ローマの神の名前に由来する英語名、星座の境界、恒星の固有名は、同じルールで決まったわけではありません。名前をたどると、文化の交流が見えてきます。
- 88星座
- 国際的な区分IAUが1922年に88星座を採用
- 七曜
- 日・月・火・水・木・金・土七つの天体と関係する曜日
- 2026年
- 星の固有名を追加IAUが新たに59の恒星名の採用を公表
ILLUSTRATED JOURNEY
3つの絵で名前の違いを見る
名前が生まれた背景と、現在の科学でどう整理しているかは分けて理解しましょう。
惑星の呼び名は言語で違う
たとえば「火星」という日本語名は五行の「火」と結びつき、英語の Mars はローマ神話のマルスに由来します。
天体そのものは同じでも名前の由来は異なる。
星座は文化の「絵」と科学の「区域」
星々を結んだ物語は文化ごとに多様です。IAUの88星座は空の領域を区分する国際的な仕組みで、神話の線そのものではありません。
IAU公式の境界と、古来の星の見立てや物語を混同しない。
天体の種類ごとに命名の手続きがある
惑星の衛星・地形や一部の恒星・系外惑星には、専門委員会による承認や公募の手続きがあります。慣用名のすべてが公式の名前ではありません。
民間業者が販売する「星の命名権」と、IAUが認める科学上の命名は別。
TOUCH AND DISCOVER
名前を選び、由来と「正式な扱い」を比べる
天体の種類と名前を選ぶと、その名前に結びつく地域・言葉・科学上の扱いが表示されます。
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NAME CARD
名前の由来を調べる
火星 / Mars
- 名前の由来
- 日本語:五行の「火」/英語:ローマ神話のマルス
- 科学上の扱い
- 天文学で使われる正式な惑星名
- ことば・文化のつながり
- 火曜日は火星に対応する七曜の一つ。英語の Tuesday は、マルスに相当するゲルマン神話の軍神ティウ(Tiw)の名に由来する。
同じ惑星に、異なる言語の系統が重なる。
金星 / Venus
- 名前の由来
- 日本語:五行の「金」/英語:ローマ神話の女神ウェヌス
- 科学上の扱い
- 天文学で使われる正式な惑星名
- ことば・文化のつながり
- 金曜日は金星に対応する。英語の Friday は、ウェヌスに相当するゲルマン神話の女神フリッグ(Frigg)の名に由来するとされる。
曜日の英語名と惑星の英語名は、一致するとは限らない(Friday と Venus など)。
木星 / Jupiter
- 名前の由来
- 日本語:五行の「木」/英語:ローマ神話のユピテル
- 科学上の扱い
- 天文学で使われる正式な惑星名
- ことば・文化のつながり
- 木曜日は木星に対応する。英語の Thursday は、ユピテルに相当するゲルマン神話の雷神トール(Thor)の名に由来する。
神の性格を対応させて、曜日の名前を置き換えた歴史がある。
オリオン座 / Orion
- 名前の由来
- ギリシャ神話の狩人オリオンの物語が西洋名に残る
- 科学上の扱い
- IAUが採用した88星座の一つ(空の領域)
- ことば・文化のつながり
- 線のつなぎ方や物語は文化により異なる。
公式の星座は「国際的に定義された区域」。
みなみじゅうじ座 / Crux
- 名前の由来
- ラテン語の「十字」を表す名
- 科学上の扱い
- IAUが採用した88星座の一つ
- ことば・文化のつながり
- 南半球では同じ星々に各地の固有の見立てがある。
すべての星座がギリシャ神話由来ではない。
おおぐま座 / Ursa Major
- 名前の由来
- ラテン語で「大きな熊」。西洋では神話と結びつく
- 科学上の扱い
- IAUが採用した88星座の一つ
- ことば・文化のつながり
- 北斗七星は、この星座の一部の星の並びを指す、日本や中国などでの呼び名。
星座と星の並び(アステリズム)は別。
シリウス / Sirius
- 名前の由来
- ギリシャ語に由来する伝統的な固有名
- 科学上の扱い
- IAUが承認している恒星の固有名
- ことば・文化のつながり
- 星座名、星の固有名、科学上のカタログ番号は、別々の仕組み。
固有名のある恒星も、カタログ番号を持っている。
ベガ / Vega
- 名前の由来
- アラビア語の天文学的呼称が欧州に伝わった名前
- 科学上の扱い
- IAUが承認している恒星の固有名
- ことば・文化のつながり
- 天文学の知識は言語をこえて伝わった。語源を細かく解釈するには史料が必要。
語源の細部は語音の変化や翻訳史に左右される。
ポラリス / Polaris
- 名前の由来
- ラテン語の「極」に由来する呼び名
- 科学上の扱い
- IAUが承認している恒星の固有名
- ことば・文化のつながり
- 「北極星」という役割の名前と、固有名の Polaris は意味が重なっている。
地球の歳差によって、北極星の役割を果たす星は長い年月の間に入れ替わる。
エウロパ / Europa
- 名前の由来
- ギリシャ神話のエウロペに由来する木星の衛星名
- 科学上の扱い
- 天文学で用いられる木星の衛星の名称
- ことば・文化のつながり
- 天体名と地表の地形名には、別々の命名手続きがある。
由来の物語は衛星の成り立ちを表す科学説ではない。
ガニメデ / Ganymede
- 名前の由来
- ギリシャ神話のガニュメデスに由来する木星の衛星名
- 科学上の扱い
- 天文学で用いられる木星の衛星の名称
- ことば・文化のつながり
- 木星の四大衛星の名前にはギリシャ神話が多く使われた。
呼び名の神話と科学的性質は関係がない。
タイタン / Titan
- 名前の由来
- ギリシャ神話のティタンたちに由来する土星の衛星名
- 科学上の扱い
- 天文学で用いられる土星の衛星の名称
- ことば・文化のつながり
- 現在の命名では、衛星のグループごとに異なる文化の神話も使われている。
すべての衛星が同じ神話から命名されるわけではない。
文化的な呼び名がすべてIAU公式名というわけではありません。由来は史料により説が分かれる場合があります。
LEARN AT YOUR LEVEL
宇宙のふしぎを、もう少し。
入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。
空にあるものには名前がある
ふだん「星」と呼んでいるものには、恒星(太陽もその一つ)、惑星、衛星など、いくつもの種類があります。
- 惑星には日本語名と別の言語の名前がある。
- 星座は夜空の星を探すときにも使う。
88星座と七曜の基本
IAUの88星座は空を領域ごとに分けた国際的な約束です。
- 日曜日〜土曜日の日本語名は太陽・月・五惑星の七曜に由来する。
- 火星とMarsのように、一つの天体が言語によって違う名前をもつ。
- 神話的な星の並びと、現代の星座の境界は別。
固有名と科学的な識別を区別
星の固有名がなくても、恒星はカタログ番号などで識別できます。
- IAUは一部の恒星・系外惑星などに公式の名前を採用している。
- 2026年2月、IAUは新たに59の恒星名を採用したと公表した。
- 人々が使う民間名・地方名は、公式名でなくても文化として重要。
専門語源を検証するときは伝承経路を追う
天体名が別の言語に伝わるときには、音写(音を写すこと)・意訳・宗教・暦法が影響します。
- よく知られた語源説でも、古い文献で裏付けられるかを検証する必要がある。
- IAUが承認する名称と、それ以前の伝統的名称・科学記号の役割を区別する。
- 文化的な命名を扱うときは当該地域の資料と当事者の言語表現を尊重する。
ラボでの語源説明は代表的な通説の要約であり、語源学の完全な再構成ではありません。
1 QUESTION CHECK
図のあとに、1問だけ
IAUが定めた「88星座」とは主に何の取り決め?
答えを1つ選んでください。
COMMON QUESTIONS
よくある誤解
星を買って名前をつければ公式になる?
曜日の「火」は火星を意味する?
どの国にも同じ星座の物語がある?
科学的な前提と出典
現代の星座は空の区域で、地域ごとの星の見立てとは一致しません。ラボの語源は代表的な説の概要で、細部や神話の異伝には不確かな点があります。IAUが認める星名・星座名・衛星名と一般的な呼び名には、それぞれ異なる運用があり、「歴史上のすべての名前をIAUが命名した」という意味ではありません。星座・曜日・惑星の創作図は、天体の位置や実際の空を再現したものではありません。
資料確認日:2026-10-17
