COSMIC RULER / 宇宙のものさし
光年・天文単位・パーセクとは?
月までの道、太陽までの道、星までの道。ものさしを変えると、宇宙の距離が読めるようになります。
30秒でわかる答え
光年は「時間」ではなく、光が真空を1年かけて進む「距離」の単位です。天文単位(au)は約1億5,000万km、1光年は約9兆4,600億km、1パーセク(pc)は約3.26光年。遠くの天体ほど、大きな単位のものさしが便利です。
- 1天文単位(1 au)
- 1億4,959万7,870.7kmIAUが定めた正確な長さ。地球〜太陽の距離の目安
- 1光年(1 ly)
- 約9兆4,610億km真空中の光が365.25日で進む距離
- 1パーセク(1 pc)
- 約3.262光年年周視差が1秒角となる距離に由来
- 太陽の次に近い恒星
- 約4.24光年プロキシマ・ケンタウリまで(概数)
ILLUSTRATED JOURNEY
4つの絵で、「宇宙のものさし」を使い分ける
月→太陽→恒星→測り方の順に確認します。以下の4枚は別々の説明図で、天体の大きさ・間隔を共通縮尺で描いていません。
月までは、約38万4,400km
月は地球のすぐそばに見えますが、平均距離は約38万4,400km。ここではkmで十分読みやすい数字です。
地球から月まで光で約1.3秒。月までの距離は公転中に変わります。
太陽までは、約1 au
地球と太陽の距離は約1億5,000万km。天文学ではおよそ1 auと言い換えると便利です。1 auは2012年に、正確な長さとして定められました。
実際の太陽と地球の距離は、公転にともなって1 auより少し近くなったり遠くなったりします。
星との距離には光年が便利
太陽の次に近い恒星、プロキシマ・ケンタウリまでは約4.24光年。これは光が約4.24年かけて進む長さです。
光年は距離の単位。星が4.24年間そこに止まっているという意味ではありません。
パーセクは、星のずれから生まれた
地球が太陽の反対側へ移ると、近くの星は遠い星を背景に少し位置がずれて見えます。年周視差が1秒角なら距離は約1pcです。
通常の年周視差 p は、半年間の見かけの往復変位の半分にあたります。
TOUCH AND DISCOVER
距離のものさしを切り替え、10倍ずつズーム
同じ天体をkm・au・光年・pcに換算します。さらに対数目盛りの表示範囲を狭め、近くのものと遠くのものを比べてください。
地球からの距離を比べる
1目盛りごとに10倍光年は距離位置は距離の桁で決まる / 天体の大きさは表さない
図は左右に動かせます。選んだ天体が中央に来るよう表示されます。
地球〜月の平均距離。
発展:星の「ずれ」を動かす
ずれが小さいほど、星は遠い。測定誤差を無視した理想的な計算例です。
同一縮尺の天体模型ではなく、対数の数直線です。表示の桁数は値の精度を意味しません。
LEARN AT YOUR LEVEL
宇宙のふしぎを、もう少し。
入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。
km・au・光年は、すべて「長さ」
地球の町と町ならkm、太陽系ではau、星と星では光年が読みやすくなります。
- 1光年は「1年間」のことではなく、1年間に光が進む距離のこと。
- 月まで約38万km、太陽まで約1.5億km、近い恒星まで約4.24光年。
単位は換算できる
真空中の光速は1秒に299,792,458m(定義値)。1光年は、光速×365.25日×86,400秒で決まります。
- 1 au = 149,597,870,700m(IAUの2012年の定義)。地球から太陽までの瞬間距離そのものではありません。
- 1 ly ≈ 63,241 au、1 pc ≈ 3.26156 ly。どれも距離を表す単位です。
- 「同じ月まで」を4種類の単位で表しても、距離そのものは変わりません。
年周視差で星までの距離を測る
地球が公転すると、近くの恒星の見かけの位置が背景に対して動きます。その小さな角度を使って距離を求めます。
- 視差pを秒角(arcsec)で測ると、pが十分正確なとき距離d(pc)≈1/p。
- p=0.2秒角なら約5pc、0.1秒角なら約10pc。遠い星ほど視差は小さく測定が難しくなります。
- 視差の測定誤差・系統誤差が大きいと、単純な1/pで距離の誤差まで正しく表せません。
専門「距離」は、どの時点を測るかも大切
銀河が遠いと宇宙の膨張が効き、同じ銀河でも光を放った時刻と現在では空間的な隔たりが異なります。
近距離・小視差の幾何:d(pc) ≈ 1 / p(秒角) / 遠方宇宙:D(t) = a(t) × χ
- 天文単位とパーセクは長さの単位ですが、宇宙論では光度距離・角径距離・共動距離・その時点の固有距離を区別します。
- 今日の固有距離D_nowと光行時間×cは一般に同一ではありません。
- 1 pcは、1 auが1秒角に見える距離として決められています。約206,265 au、約3.262 lyです。
d≈1/pは測定精度が十分よい場合の関係。遠方銀河の厳密な距離推定には宇宙論モデルと赤方偏移などが必要です。
1 QUESTION CHECK
図のあとに、1問だけ
「4.24光年」は何を表している?
答えを1つ選んでください。
COMMON QUESTIONS
よくある誤解
光年は時間の単位?
天文単位は毎年変わるの?
パーセクを使うのはなぜ?
視差が小さい星ほど近い?
250万光年先の銀河は、必ず250万年前の姿?
科学的な前提と出典
1 auと真空中の光速度は定義値で誤差がありません。1 lyはユリウス年365.25日を使って算出します。1 pc ≈ 648000/π au(年周視差1秒角)。月・太陽・恒星・銀河の距離は概数・代表値で、実際には変化や観測誤差があります。4枚の図のサイズ・距離は共通縮尺ではありません。対数軸は距離の桁だけを表示します。非常に遠い銀河の光行距離、現在の固有距離、光度距離などは別の概念です。
資料確認日:2026-10-16
- IAU 2012決議 B2 — 天文単位の厳密値 ↗
- 国際天文学連合(IAU) — Measuring the Universe ↗
- NIST/CODATA — 真空中の光速度 ↗
- ESA Gaia — Cosmic distances ↗
- ESA — Parallax ↗
- ESA — Gaia Data Release 2 の精度と系統誤差 ↗
- NASA Science — Moon Facts ↗
- NASA Science — Sun Facts ↗
- NASA Science — How Does Webb See Back in Time? ↗
- D. W. Hogg — Distance Measures in Cosmology(公刊研究ノート) ↗
- NASA Science — Voyager 1: What Is a Light-Day(光年・最寄りの恒星・アンドロメダ銀河) ↗
