EXTREME UNIVERSE / GRAVITATIONAL WAVES

重力波はどのように観測される?

遠い天体の合体が「時空のさざ波」に。L字形のレーザー装置は何を測っている?

イラスト+体験入門から専門へ
連星から広がる時空の波とL字形干渉計を重ねた概念図。波紋や腕の変形は実際のひずみより大幅に誇張しています。
連星から広がる時空の波とL字形干渉計を重ねた概念図。波紋や腕の変形は実際のひずみより大幅に誇張しています。

30秒でわかる答え

重力波は、激しく運動する質量しつりょうが生み出し、宇宙うちゅうを伝わっていく時空のゆらぎです。LIGOなどの干渉計は、直角に伸びる2本の腕を通るレーザー光のわずかな位相差から、極小の相対的な長さの変化を調べます。

初の直接検出
2015年9月14日GW150914、LIGOが検出
LIGOの腕の長さ
各4 km直交した2方向のレーザー干渉計
典型的な信号のひずみ
約10⁻²¹GW150914のピーク程度の無次元量

ILLUSTRATED JOURNEY

連星からレーザーまで、3枚でつなぐ

天体の合体と検出のあいだには、非常に小さなひずみが隠れています。絵の伸び縮みは大幅に誇張しています。

距離が縮むブラックホール連星の公転と、外向きに進む模式的波紋の図。
01 / BINARY

重い2天体が近づきながら回る

ブラックホールや中性子星ちゅうせいしせいの連星は、重力波としてエネルギーを失うことで軌道が変化し、条件によって合体へ向かいます。

主な重力波周波数は、円軌道近似では公転周波数のおよそ2倍です。

直交する方向が交互に伸び縮みするように描いた重力波の模式図。
02 / SPACETIME

距離の比が、ごくわずかに変わる

重力波が通過すると、自由に動く物体どうしの距離関係に極小の変化が起こります。これをひずみhとして扱います。

図の伸縮率は実際の10⁻²¹級より桁違いに大きく誇張しています。

L字の腕、レーザー、ビームスプリッター、受光器を示す干渉計の概念図。
03 / INTERFEROMETER

レーザーの位相差を測る

LIGOは直交する長い腕にレーザーを送り、戻ってきた光を重ねてごく小さな差を検出します。

ノイズを除くため複数地点の信号や理論波形との一致も確かめます。

TOUCH AND DISCOVER

連星が速く回るほど、波形はどう変わる?

周回の速さを変え、周波数と相対振幅の変化を見よう。曲線は単純な正弦波モデルで、実際の合体波形ではありません。

BINARY × WAVEFORM 周回の速さと波の振動

重力波の山(模式) 公転軌道 速さ1のときの軌道 波の山が通ると光る点 公転 30 Hz × 2 = 60Hz 重力波の主成分

速いほど近い軌道(同じ質量の初期近似)軌道図の動きとサイズは実際の時間・距離縮尺ではありません

表示した瞬間の単純な波形(実測データではありません)

相対振幅帯1つ=公転1周(波2回)
+2+1−1−2 1 2
00.12 秒 →

公転周波数(比較モデル)30 Hz

重力波周波数(主成分)60 Hz

相対振幅(20 Hz時 = 1)2.08 倍

公転の主な重力波成分は約2倍の周波数。

質量と距離を固定して、合体前の近似範囲だけを比較。描いた波は正弦波で、LIGO観測波形ではありません。

LEARN AT YOUR LEVEL

宇宙のふしぎを、もう少し。

入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。

入門

宇宙を進む「時空のさざ波」

重力波は音や光とは異なり、時空の幾何の変化として伝わります。

  • 連星のような、変化する非対称な質量しつりょうの運動が重力波を放つことがあります。
  • ふだんの生活の規模では、その効果は極めて小さいものです。
基礎

連星合体とレーザー干渉計

重い2つの天体が近づき、速く回ると重力波の振動も速くなります。

  • レーザーを使った直交2腕の干渉計は、異なる方向の変化を光の干渉で読み取ります。
  • 検出時は装置の雑音や別地点との一致、理論波形も調べます。
発展

周波数とひずみ

GW150914で観測かんそくされた重力波は数十Hzから数百Hzへ高くなり、振幅も増える「チャープ」でした。

  • ひずみは長さの変化を元の長さで割った、単位を持たない量です。
  • ピークのひずみは約10⁻²¹で、腕の長さ4 kmなら単純換算で約4×10⁻¹⁸ mに相当します。
  • 重力波が通ると2本の腕の長さの変わり方に差が生じるので、その差を比べます。
専門

モデル波形と真の検出

連星の質量しつりょう・距離・向きやスピンなどを変えて相対論的波形テンプレートを計算し、観測かんそく信号と照合します。

h=ΔL/L / fGW≈2forb / h∝fGW^(2/3)

  • 単純な円軌道の近似では主な重力波成分の周波数は公転こうてん周波数のおよそ2倍です。
  • 同じ質量しつりょう・距離なら初期近似で周波数が増すと振幅の包絡も増します。
  • 実際の解析は検出器応答と校正誤差、統計的信頼度の評価を含みます。

表示は近似の比較のみ。4 km×10⁻²¹は概算で、実測の差動腕長や干渉光学系の完全な換算ではありません。

1 QUESTION CHECK

図のあとに、1問だけ

LIGOなどのレーザー干渉計が直接比較しているものは?

答えを1つ選んでください。

COMMON QUESTIONS

よくある誤解

重力波は目で見える?
可視光ではありません。干渉計やパルサー時刻測定など、重力波が引き起こす微小な変化から検出します。
図で輪や腕が大きく伸び縮みするのは本当?
学習用に大きく誇張しています。実際のひずみは約10⁻²¹級など、極端に小さいものです。
波形は本当にきれいな正弦波?
単純な円軌道の一瞬だけなら近いイメージですが、実際の連星合体にはチャープや合体後のリングダウンが含まれます。

科学的な前提と出典

静止した正弦波は周波数と相対振幅の比較用であり、実際の重力波の検出波形ではありません。h∝f^(2/3)は質量・距離一定かつ非相対論的な円軌道の近似範囲での関係です。LIGOの実測ひずみは約10⁻²¹、装置腕長4 kmに対する単純な長さ換算は約4×10⁻¹⁸ mですが、実際の光学・制御系はもっと複雑です。図の伸縮は桁違いに誇張しています。

資料確認日:2026-10-16

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