ROCKET SCIENCE / 噴射で飛ぶ

ロケットはなぜ飛べる?

空気を押しているわけではない。噴射・燃料・機体の重さを変えて、離陸と速さの違いを体験しよう。

イラスト+体験入門から専門へ
機体から下向きにガスを噴射して上昇するロケットの概念図。噴射の大きさや高度、色の強さは実測にもとづくものではなく、縮尺もそろえていません。
機体から下向きにガスを噴射して上昇するロケットの概念図。噴射の大きさや高度、色の強さは実測にもとづくものではなく、縮尺もそろえていません。

30秒でわかる答え

ロケットは燃料と酸化剤を機体に積み、燃焼ガスなどを後ろへ速く噴き出します。ガスに運動量を与える反作用によって機体が押されるため、空気のない宇宙うちゅうでも進めます。

ロケットの推進
噴射の反作用周囲の空気を押す必要はない
離陸の条件
推力 > 重力上向きに離陸するための基本条件(単純化)
燃料と酸化剤
両方を搭載化学ロケットの場合
速度変化の目安
Δv(デルタブイ)現実の到達速度とは別の指標

ILLUSTRATED JOURNEY

4枚の絵で、しくみをつかむ

絵を順に追い、何が原因で何が起きるかを確かめましょう。図は原理を表す模式図です。

ガス噴出の向きと機体が受ける推力が反対向きであることを示す模式図。
01 / ACTION / REACTION

ガスを後ろへ飛ばすと、機体は前へ

燃料と酸化剤を反応させた高温のガスを、ノズルから勢いよく噴き出します。ガスを押し出した反作用で機体が受ける力が推力です。

「空気をける」仕組みではありません。

上向き推力と下向き重力を比較した地上打ち上げ模式図。
02 / LIFT OFF

推力が重さに勝つと離陸

地上のロケットは重力に引かれます。最初の推力が重さより大きければ、上向きに加速し始めます。

空気抵抗も進行を妨げます。

燃焼前後で質量が変化した2機のロケットを比較する模式図。
03 / MASS CHANGE

燃料を使うと軽くなる

燃焼が進むと推進剤が減り、機体が軽くなります。同じ推力でも加速度は変わります。

「燃料」だけでなく酸化剤などの推進剤の質量も減ります。

二段式ロケットの段分離と上段の飛行を示す概念図。
04 / STAGING

使い終わった段を切り離す

エンジンや空のタンクを切り離せば、残った機体が余計な質量しつりょうを運ばずに済みます。

現実の軌道投入には横方向の加速も必要です。

TOUCH AND DISCOVER

推力・重さ・燃料で、離陸を試す

3本のスライダーでロケットの条件を変えます。初期の推力重量比・理想Δv・単純化した鉛直上昇の速度を比べてみましょう。

LAUNCH DESIGN / VERTICAL MODEL計算中
推力重さ仮想の鉛直打ち上げ

グラフは初期状態の力を相対比較。棒の高さは自動調整されます。炎の大きさは推力の目安(模式)です。

初期の推力重量比1.37 倍
理想Δv約 3.47 km/s
燃焼時間(理論)約 151 秒
鉛直速度(簡易計算)約 1.99 km/s

推力が初期の重さを超えると離陸できます。燃焼中に質量も変化します。

LEARN AT YOUR LEVEL

宇宙のふしぎを、もう少し。

入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。

入門

空気がなくても、どうして飛ぶの?

ガスが後ろへ噴き出すことと、機体が前へ進むこと。この2つは同時に起きます。

  • 風や空気を押して飛ぶのではなく、噴き出すものを後ろへ加速する反作用で進む。
  • 化学ロケットは燃料と、それを燃やす酸化剤を自分で持っていく。
基礎

推力と重さをくらべる

地上では推力が重力による重さを上回らないと離陸できません。

  • 推力はニュートン(N)、機体の質量しつりょうはキログラム(kg)で測る。
  • 燃えて軽くなると、同じ推力でも加速度は大きくなる。
  • 空気抵抗があれば、さらに加速は小さくなる。
発展

燃料の割合と段分離

推進剤の割合を増やすほど理想Δvは大きくなりますが、構造や積荷も必要です。

  • 同じ排気性能でも、初期質量しつりょう/燃焼後質量しつりょうの比が大きいほど理想Δvが増える。
  • 使い終わったタンク・エンジンを分離すると、次の段が運ぶ質量しつりょうを減らせる。
  • 実際は垂直に上がるだけでなく横向きの速度を得て軌道へ向かう。
専門

理想ロケット方程式と損失

燃焼前後の質量しつりょう比の自然対数で理想的な速度増分を求めます。

Δv_ideal = Isp × g0 × ln(m0 / mf) ; F = ṁ × Ve + (pe − pa) × Ae

  • Ispは比推力(秒)、g0=9.80665 m/s²は標準重力加速度。
  • 重力損失・空気抵抗損失・操舵損失などを差し引いて実飛行を考える。
  • 実際の推力は排気の運動量流束と出口圧力差にも依存する。

ラボの簡易鉛直速度推算 Δv_ideal − g0 × 燃焼時間 は、上昇できるケースに限った定重力・無抗力近似。

1 QUESTION CHECK

図のあとに、1問だけ

宇宙の真空中でもロケットが進める理由は?

答えを1つ選んでください。

COMMON QUESTIONS

よくある誤解

宇宙には酸素がないのに燃える?
化学ロケットは燃料と酸化剤を機体内に積むため、外の空気中の酸素を必要としません。
推力が大きければ必ず宇宙に行ける?
いいえ。必要な燃焼時間や推進剤、機体質量、空気抵抗、軌道へ入る横向きの速度まで考える必要があります。
Δvが3 km/sなら実際に3 km/sで飛べる?
いいえ。理想Δvは速度の変化に使える能力です。打ち上げでは重力や空気抵抗などの損失があり、実際の速度と一致しません。

科学的な前提と出典

図は模式図です。ラボの推力・質量・燃焼時間は架空の条件で、実在のロケットの性能値ではありません。Δvは理想ロケット方程式から算出し、地表の重力を一定とした単純な鉛直上昇速度とは区別しています。実際の打ち上げでは、高度によって重力や空気抵抗が変わり、操舵や段分離なども影響します。

資料確認日:2026-10-16

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