火星とプレセペ星団の接近は10月12日未明|何時・どの方角?
2026年10月12日の未明、火星がかに座のプレセペ星団のほぼ中心を通ります。見るのは午前3時〜4時すぎの東の空。11日が新月で月明かりはなく、双眼鏡を向けると赤い火星が星の群れの中に見えます。
15年ぶりの好条件。次にこれを上回るのは2041年
- レア度B
- 天文条件Sとてもよい
- 手軽さC準備が要る
10月12日の午前4時ごろ、東の空。火星は星団の中心のすぐそば
東京の計算例では、4時15分ごろ(日の出の90分前)に火星の高さは約50°。星団の中心からの離れ方は約9′で、満月の直径の3分の1ほどです。火星は肉眼で見つかる明るさなので、まず火星を探し、そこへ双眼鏡を向けてください。
「プレセペ星団」とは? かに座にある、約1000個の星の集まり(散開星団)です。暗い空なら肉眼でもぼんやりした光のかたまりに見えます。火星は星座の間を毎日少しずつ動くため、この数日だけ星団の中を通り抜けます。
火星
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月
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見るころの天気
観察日が近づくと、未明〜明け方の時間帯の天気予報をここに表示します。
観察ポイント
東京の目安
10月12日は、火星が星団の中心にいちばん近い朝です。火星は0時ごろに昇り、4時すぎには東の空の高いところにあります。
3回の朝がねらえます。 星団の広がりは約1.5°(満月3個分)。4時ごろの火星は、11日・12日・13日の3日とも星団の範囲かそのふちにいます。
| 地点 | 火星の出 | 見る時刻 | 高さ | 方角 |
|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 23:34(11日) | 4:15ごろ | 約49° | 東南東 |
| 仙台 | 23:49(11日) | 4:10ごろ | 約50° | 東南東 |
| 東京 | 0:00 | 4:15ごろ | 約50° | 東(やや南) |
| 名古屋 | 0:12 | 4:25ごろ | 約50° | 東(やや南) |
| 大阪 | 0:19 | 4:30ごろ | 約50° | 東(やや南) |
| 広島 | 0:32 | 4:40ごろ | 約50° | 東(やや南) |
| 福岡 | 0:42 | 4:50ごろ | 約50° | 東(やや南) |
| 那覇 | 1:07 | 4:55ごろ | 約50° | 東 |
見る時刻の目安は日の出の90分前(空が明るくなり始める少し前)です。どの地点でも、この時刻に火星は東の空の高さ約50°にあります。
蜂の巣星団に、
赤い星が一つ。
プレセペ星団は、英語で「ビーハイブ(蜂の巣)」とも呼ばれる星の集まり。2026年10月12日の未明、そこへ火星が入り込みます。光で約13分の距離にある惑星と、約600光年先の星団。2つが同じ視野に並ぶのは、この数日だけです。
双眼鏡を向けると、
こう見える。
視野6°ほどの双眼鏡で、午前4時ごろに東の空を見たときの向きです。日付を切り替えると、火星が毎朝どこにいるかが分かります。星の位置は実際の星表に基づいています。
まだ星団の外。
中心から約1°(約60′)。星団の上のほうにいて、星の群れとは少し離れています。ここから毎朝、下へ進んでいきます。
星団のふちに入る。
中心から約26′。星団の星と同じ視野にしっかり入ります。
いちばん近い朝。
中心から約9′。火星が昇った直後の0時半ごろは約5′まで近づきますが、まだ地平線のすぐ上です。高さが十分になる3時〜4時すぎがおすすめです。
星団の反対側へ。
中心から約41′。前の日とは反対側のふちにいて、星団から離れていく途中です。
星団から抜け出す。
中心から約75′。まだ星団と同じ視野に入ります。ここから毎朝、約0.56°ずつ離れていきます。
火星は、星団でいちばん明るい星の100倍以上の明るさ。 双眼鏡で見える星団の星は6〜9等ほど、火星は約1等です。赤っぽい色もあって、視野の中ですぐに見分けられます。
2つの星から、
下へたどる。
4時ごろの東の空には、明るい星が縦に並びます。いちばん目立つのは木星なので、火星と取り違えないようにしましょう。腕をのばしたげんこつ1つが約10°の目安です。
- 東の高い空で、2つ並んだ星を見つける。 ふたご座のカストルとポルックスです。
- ポルックスから下へ、げんこつ1つ半(約15°)。 同じくらいの明るさで、赤っぽい星が火星です。
- さらに下の、ひときわ明るい星は木星(−1.8等)。 その下にしし座のレグルスがあります。
- 火星に双眼鏡を向ける。 周りに入ってくる星の群れが、プレセペ星団です。
ポルックスもオレンジ色で、明るさは火星とほぼ同じです。2つ並んでいる片方がポルックス、少し離れてぽつんと光るのが火星です。
毎朝、
満月1個分ずつ進む。
火星は星座の間を、1日に約0.56°ずつ東へ動きます。満月の直径(約0.5°)とほぼ同じです。約1.5°の星団を通り抜けるのに、3日ほどかかります。
同じ視野に、
13分と600年。
並んで見えるのは、見かけだけです。火星までは約2.4億kmで、光で約13分。プレセペ星団までは約600光年。星団までの距離は、火星までの約2400万倍です。
横軸は対数目盛りです(右へ一定の長さ進むごとに10倍)。木星は10月12日の値、ポルックスと星団はおおよその値です。
4時に見る火星の光は、3時47分ごろに火星を出た光です。火星は自分では光らず、太陽の光をはね返して光っています。
星団の光が星を出たのは約600年前。日本では室町時代のころです。星団の星は、それぞれが太陽のように自分で光る星です。
飼い葉桶と、
2頭のロバ。
プレセペはラテン語で「飼い葉桶」。両わきのかに座γ星とδ星は、桶のそばの2頭のロバに見立てられています。古くから肉眼で知られ、望遠鏡で初めて星の集まりだと分かった天体のひとつでもあります。
15年ぶりの
好条件。
火星は約2年ごとに、プレセペ星団の近くを通ります。ただ、太陽に近くて見えない回や、月明かりや薄明がじゃまをする回が多く、東京で見やすさを比べると、今回は1996〜2056年の33回で2番目。上回るのは2041年10月24日だけです。
高さ約50°・新月の翌日
高さ約28°・細い月
高さ約42°・月明かりあり
2019〜2040年の12回をすべて見る
| 日付 | 時間帯・方角 | 星団の中心から | 火星の高さ | 月 | 見やすさ |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019/7/14 | 夕方・西 | — | — | — | × 太陽に近く見えない |
| 2021/6/23 | 夕方・西 | 約18′ | 約12°(薄明) | 満月近く | × ほぼ見えない |
| 2023/6/2 | 夜・西 | 約20′ | 約25° | 満月近く | △ 低く月明かり |
| 2025/5/5 | 夜・西 | 約38′ | 約42° | 月明かりあり | ○ 星団のふち |
| 2026/10/12 | 未明・東 | 約9′ | 約50° | 新月の翌日 | ◎ 今回 |
| 2028/9/17 | 未明・東 | 約13′ | 約28° | 細い月 | ○ 次の好機 |
| 2030/8/28 | 明け方・東 | 約17′ | 約12°(薄明) | 新月ごろ | △ 低い |
| 2032/8/8 | — | — | — | — | × 太陽に近く見えない |
| 2034/7/21 | — | — | — | — | × 太陽に近く見えない |
| 2036/7/1 | 夕方・西 | 約4′ | 約6°(薄明) | 月明かりあり | × ほぼ見えない |
| 2038/6/11 | 夕方・西 | 約6′ | 約18°(薄明) | 月明かりあり | △ 低い |
| 2040/5/17 | 夜・西 | 約25′ | 約32° | 月明かりあり | ○ 星団のふち |
東京での計算です。離れ方と高さは、空が暗い(または薄明の)時間帯で、星団にいちばん近く見える時刻の値です。
見に行く前の、
よくある疑問。
Q1肉眼でも見える?
火星は約1等で、肉眼ではっきり見えます。プレセペ星団は全体で約3.7等ですが、広がっているぶん淡く、暗い空なら肉眼でもぼんやり見える程度です。街明かりのある場所では双眼鏡を使ってください。
Q2どんな双眼鏡がいい?
7〜10倍くらいの一般的な双眼鏡で十分です。星団の広がり(約1.5°)と火星がいっしょに視野に入ります。望遠鏡では低い倍率でも星団全体が視野に入りきらないことが多いので、双眼鏡がいちばん向いています。
Q311日と12日、どちらの朝がいい?
いちばん近いのは12日の未明で、4時ごろの離れ方は約9′です。11日の未明(約26′)や13日の未明(約41′)でも、火星と星団は同じ視野に入ります。
Q4何時ごろに見ればいい?
火星は0時ごろに東から昇ります(東京)。高さが30°をこえる3時ごろから、空が明るくなり始める4時20分ごろまでが見ごろです。他の地点は「全国の目安」の表を見てください。
Q5明るい星がいくつもあって、どれが火星?
火星の下に見える、ひときわ明るい星は木星(−1.8等)です。火星は木星より暗く、赤っぽい色です。上にあるポルックスとはほぼ同じ明るさですが、ポルックスはカストルと2つ並んでいます。右に離れて光る白い星は、こいぬ座のプロキオン(0.4等)です。
Q6火星と星団がぶつかることはある?
ありません。同じ方向に見えているだけです。火星までは約2.4億km、プレセペ星団までは約600光年。星団までの距離は、火星までの約2400万倍です。
Q7写真に撮れる?
スマートフォンだけでは星団の星が写りにくいです。カメラを三脚に固定し、望遠レンズ(35mm判換算で200mm前後)で、ISO1600・1〜2秒くらいから試すと、赤い火星と星団の星をいっしょに写せます。
Q8次はいつ?
次に条件がそろうのは2028年9月17日の未明です。約13′まで近づきますが、高さは約28°と今回より低めです。その後は低い空や太陽に近い回が続き、次に見やすいのは2040年5月17日の夜です。
データと表示について
火星の位置・時刻・高さ・星団との離れ方、過去と今後の接近の見やすさは、宇宙旅行.jpの天文計算による値です(星団の中心は赤経8時40分24秒・赤緯+19°40′)。図の星の位置はヒッパルコス衛星の星表に基づいています。星団の距離・年齢・星の数・名前の由来は、以下の資料を参考にしています。
国立天文台|ほしぞら情報(2026年10月)
国立天文台|火星が地球に最接近(2027年2月)
NASA|Messier 44
Gaia Collaboration (2018)|星団までの距離
Quinn et al. (2012)|プレセペ星団の惑星
ガリレオ『星界の報告』(英訳)
