HELIOCENTRISM / 天体運動の説明

天動説から地動説へ

地球ちきゅうを中心に描いた図と、太陽たいようを中心に描いた図。観測かんそくから何が分かったのだろう。

イラスト+体験入門から専門へ
同じ太陽・地球・金星を、地球中心と太陽中心の異なる見方で描いた模式図。軌道半径、角度、表示サイズは実寸比ではありません。
同じ太陽・地球・金星を、地球中心と太陽中心の異なる見方で描いた模式図。軌道半径、角度、表示サイズは実寸比ではありません。

30秒でわかる答え

地球ちきゅう中心の歴史的な宇宙うちゅうモデルにも、実際の観測かんそくを説明する工夫がありました。その後、金星の満ち欠けみちかけや木星の衛星えいせい、精密な惑星の位置の測定が、惑星が太陽たいようのまわりを回るという考えを強く支えました。

1543年
地動説の著書コペルニクスが体系を出版
1609年
楕円軌道の法則ケプラーの第一・第二法則
1610年
望遠鏡で金星を観測満ち欠けのすべての段階が見えることは、古典的なプトレマイオスの体系と合わない

ILLUSTRATED JOURNEY

3枚で分かる「説明の変化」

図は歴史的なモデルの細かな周転円などを省き、違いだけを描いています。

左に地球中心の歴史的なモデル、右に太陽中心のモデルを描いた構成図。周転円などは省いた。
01 / LOOK & THINK

地球中心か、太陽中心か

昔の天動説のモデルは、地球ちきゅうを中心にして惑星の見かけの動きを計算しました。地動説のモデルでは、地球ちきゅうも惑星の一つとして太陽たいようのまわりを公転こうてんします。

中心に描いた座標だけで、物理的な仕組みが決まるわけではない。

金星の光った部分が細い形からほぼ丸い形まで変化する概念図。
02 / LOOK & THINK

金星の形が教えたこと

金星は細い三日月つき形から丸に近い形まで見えます。この変化は、「金星はいつも地球ちきゅうと太陽たいようの間にある」とする古典的なプトレマイオスの体系には合いません。

金星の満ち欠けだけでは、ティコの折衷体系(地球は静止し、太陽が地球のまわりを、ほかの惑星が太陽のまわりを回る)は否定できない。

太陽を焦点の一方に描いた楕円と、惑星の位置を示す模式図。
03 / LOOK & THINK

惑星は楕円を描く

ケプラーは観測かんそく資料をもとに、惑星が太陽たいようを一つの焦点とする楕円軌道を動くと説明しました。

太陽は楕円の中心でなく焦点に置かれる。

TOUCH AND DISCOVER

同じ天体を「地球から」と「太陽から」見る

中心の切り替えと日数のスライダーを操作してください。座標の中心を移しても、天体どうしの位置関係と金星の見える形は変わりません。

ONE SYSTEM / TWO COORDINATES実寸比ではありません
太陽 地球 金星 太陽中心の座標 円軌道の簡易モデル

直線:金色=太陽と金星、水色の点線=地球と金星。軌跡(金=太陽・青=地球・桃=金星):点線は0〜365日、太線はそこまでに動いた道すじ。

MOVE THE DAYS

同じ動きを、別の中心から見る

0日365日
地球と金星の距離(概算)
計算中
金星の光って見える割合(概算)
計算中

光の向きは固定した説明図右側が明るくなる向きで描いています。地球から見た実際の上下・左右や、望遠鏡で見える大きさは再現していません。

中心を切り替えても、光って見える割合は変わりません。金星の満ち欠けのすべての段階が見えることだけでは、ティコの折衷体系は否定できません。

LEARN AT YOUR LEVEL

宇宙のふしぎを、もう少し。

入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。

入門

地動説は地球も動くという考え

地球ちきゅうの地面にいると太陽たいようが動くように見えます。でも、見え方だけではどちらが回っているか決められません。

  • 地球ちきゅうは自転し、太陽たいようのまわりを公転こうてんする。
  • 昔の研究者は、当時の観測かんそくを説明しようとしてモデルをつくった。
基礎

望遠鏡で見えてきた違い

ガリレオは金星の満ち欠けみちかけや木星の衛星えいせいを観測かんそくしました。

  • 木星にも周囲を回る衛星えいせいがあり、すべてが地球ちきゅうのまわりだけを回るわけではない。
  • 金星は、太陽たいようのまわりを回っていることを示す満ち欠けみちかけを見せる。
  • ケプラーは精密な観測かんそくをもとに、惑星の軌道を楕円で表した。
発展

観測が否定したのはどのモデル?

金星の満ち欠けみちかけのすべての段階(全位相)は、古典的なプトレマイオスの体系とは合いません。ただし、地動説だけでなく、地球ちきゅうを静止させたまま金星が太陽たいようのまわりを回るとするティコの折衷体系とも矛盾しません。

  • 観測かんそくだけでは、同じ現象を説明できるモデルが複数残る場合がある。
  • 物理法則・力学的整合性・恒星こうせい年周視差など、より幅広い証拠を合わせて判断する。
  • 実際の惑星軌道の形と運動はケプラーの法則・ニュートンの力学で近似される。
専門

地球中心座標は「昔の天動説」と別物

座標の原点を地球ちきゅうに移しただけでは、太陽たいよう・地球ちきゅう・金星の相対的な距離や位相角は変わりません。物理的な宇宙うちゅうのモデルと、座標の選び方の便利さは別の問題です。

相対位置: r地心 = r日心 − r地球 / 輝面比: f = (1 + cos α) / 2

  • 太陽たいよう中心での位置を r日心、地球ちきゅうの位置を r地球ちきゅう とすると、地球ちきゅう中心での位置は r日心 − r地球ちきゅう になる。
  • 金星の位相角 α は、金星から見た太陽たいようの方向と地球ちきゅうの方向のなす角。輝面比きめんひ(照らされて見える部分の割合)は (1+cos α)/2。
  • 円軌道のモデルは現象の整理には便利だが、天体の位置を精密に計算するときは、実際の軌道、惑星どうしの摂動、時刻系を考慮する。

描画の座標の切り替えは、歴史上のプトレマイオスやティコのモデルを精密に復元したものではありません。

1 QUESTION CHECK

図のあとに、1問だけ

金星が細い形から丸に近い形まで変わる観測で、どんなことがいえる?

答えを1つ選んでください。

COMMON QUESTIONS

よくある誤解

地球中心座標で計算するのは間違い?
いいえ。観測地を原点にする座標系は現代でも使います。歴史的な天動説という物理的なモデルとは区別します。
金星の満ち欠けだけで地動説が証明されたの?
いいえ。金星が太陽のまわりを回る強い証拠ですが、それだけではティコの折衷体系まで否定することはできません。
ケプラーの楕円では太陽は真ん中?
いいえ。惑星が描く楕円の一方の焦点付近に太陽があります。

科学的な前提と出典

このラボは、一つの太陽中心モデルの座標の表し方を切り替えるもので、歴史的な天動説と地動説を二者択一で比べるシミュレーションではありません。地球と金星は傾きのない同じ平面上の円軌道とし、日数は天文学上の概算の周期を使い、軌道の離心率は無視しています。金星の輝面比は球の照らされ方の幾何学的な近似で、望遠鏡で見える像の向きや大きさは再現していません。金星の満ち欠けのすべての段階は古典的なプトレマイオスの体系と合いませんが、ティコの折衷体系では説明できます。

資料確認日:2026-10-17

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