月着陸旅行(Lunar Landing Tour)

2026年10月14日更新|NASA・各国の公式発表にもとづく

人類の新たな足跡を、月の南極へ。

人類は、再び月面への着陸を目指しています。アポロ以来、半世紀ぶりとなる「有人月面着陸」の計画が進行中です。今回の目的地は、月の赤道域ではなく南極域。永久に日が当たらない場所に水の氷が確認されており、将来の月面活動に欠かせない資源として注目されています。

宇宙開発の日程は、技術・安全審査・予算などで更新されます。NASAは2026年に計画を組み直し、最初の有人月面着陸をアルテミスIIIからアルテミスIVへ変更しました。氷の量・濃度・分布や、資源として採って使えるかは、これからの探査で確かめられます。

最終更新 2026-10-14次の着陸目標 2028年初頭着陸船 まだ未決定
月の南極の風景のイメージ図。地平線すれすれの太陽と地球、長く伸びる影、地球を指さす宇宙飛行士と足跡
月の南極の風景(イメージ図) 南極では、太陽は地平線すれすれを回り、地球も地平線の近くに見えます(場所によっては見えないことも)。影はとても長く、深いクレーターの底には、何十億年も日が当たっていないと考えられる場所があります。
いつ?目標
2028年初頭

NASAのアルテミスIVで、アポロ17号(1972年)以来の有人月面着陸を目指します。

だれが降りる?計画
4人のうち2人

4人が月へ向かい、2人が着陸船に乗り換えて月面へ。2人は月を回る軌道で待ちます。

どれくらい?計画
月面で約1週間

南極付近で地質調査、試料の採取、科学実験を行う計画です。

どの着陸船?未決定
まだ決まっていない

スペースXとブルー・オリジンの2機種から、2027年の試験結果と準備状況を見て決めます。

Road to the surface

着陸までの5つのステップ

アルテミス計画は、無人の試験飛行から少しずつ段階を上げています。2026年の計画再編で、着陸の前に「地球のまわりでの本番さながらの試験」が1回加わりました。

  1. アルテミスI2022年11月完了

    無人のオリオン宇宙船が月を回って帰還。

  2. アルテミスII2026年4月完了

    4人を乗せて月の裏側を回り、地球へ帰還。

  3. アルテミスIII2027年(6月以降)準備中

    地球を回る軌道で、オリオンと着陸船のドッキングを試験。

  4. アルテミスIV2028年初頭目標

    半世紀以上ぶりの有人月面着陸。2人が南極付近へ。

  5. アルテミスV2028年後半目標

    2回目の有人着陸。その後は年1回ほどのペースを目指す。

アルテミスIIIは「月面着陸の前の有人実証」へ

アルテミスIIIは中止されたのではなく、役割が変わりました。月へは向かわず、地球を回る低い軌道で、オリオン宇宙船と商業月着陸船(スペースXとブルー・オリジンのどちらか、または両方)の接近・ドッキングを試します。

オリオンの有人運用、着陸船とのランデブー・ドッキング、生命維持・通信・推進の連携、新しい宇宙服AxEMUと着陸船の接続などを確かめ、アルテミスIVの着陸のリスクを下げるのが狙いです。2026年6月にクルー4人(NASAのランディ・ブレズニック、フランク・ルビオ、アンドレ・ダグラス、欧州宇宙機関のルカ・パルミターノ)が発表され、10月13日にはSLSロケットのブースターの組み立てを終えました。

Artemis IV mission profile

アルテミスIVの流れ

4人の宇宙飛行士がオリオン宇宙船で月を回る軌道へ向かい、そのうち2人が着陸船に乗り換えて南極付近へ降ります。現在の目標は2028年初頭ですが、確定日ではなく、開発・試験の進み具合で変わる可能性があります。

アルテミスIVの流れの模式図。地球を出発し、月を回る軌道で着陸船と合流、2人が南極付近に着陸して約1週間活動し、軌道へ戻って4人で地球へ帰還する 地球月 1 2 3 4 5 6
  1. 1出発4人がSLSロケットとオリオン宇宙船で地球を出発します。
  2. 2月を回る軌道で合流オリオンが着陸船とドッキングします。
  3. 3着陸2人が着陸船に乗り換え、月の南極付近へ降ります。
  4. 4約1週間の月面活動地質調査、試料の採取、科学実験を行います。
  5. 5月面から上昇着陸船で軌道へ戻り、オリオンで待つ2人と合流します。
  6. 6地球へ帰還4人でオリオンに乗り、地球へ戻ります。
模式図です。距離・大きさの縮尺は実際と異なります。NASAは月の南極付近に9つの着陸候補地域を挙げています。着陸船と合流する軌道や手順は、使う着陸船によって変わる可能性があります。

Landers & suits

着陸船と宇宙服、民間の技術

月面着陸を実現する技術は、着陸船だけではありません。NASAは2社の着陸船と、民間が開発する新しい宇宙服を組み合わせて使います。アルテミスIVでどちらの着陸船を使うかは、まだ決まっていません。

着陸船の高さの比較。人1.8m、アポロ月着陸船約7m、ブルームーンMK2約16m、スターシップHLS約50m 10m20m30m40m50m エアロック 約30m 人アポロ着陸船ブルームーンスターシップ1.8m約7m約16m約50m
高さの比較(高さのみ縮尺をそろえ、横幅と形はイメージ)。スターシップHLSの約50mは、ビルの15階建てほどの高さです。乗員はエアロックから昇降機で月面に降ります。数値は公表・報道されている概数です。
スペースX(SpaceX)

スターシップHLS

スペースXが開発する月面着陸船Starship HLSが月面に着陸するレンダリング画像(NASA提供)
スターシップHLSの構想図 ©NASA / SpaceX

大型宇宙船スターシップを月着陸用にしたもので、高さは約50m。月へ向かう前に、地球を回る軌道で何度も燃料(推進剤)を補給する方式です。もともとはアルテミスIIIの着陸船として選ばれていました。

ブルー・オリジン(Blue Origin)

ブルームーンMK2

NASAが2023年に2社目の有人月着陸船として選んだ、高さ約16mの着陸船です。契約時はアルテミスVでの有人実証が想定されていましたが、計画再編後はスターシップHLSとともにアルテミスIVの候補になっています。

無人の貨物型MK1は、2026年5月末にロケット「ニューグレン」が発射台で爆発した影響で、最初の月着陸が2027年初めにずれ込む見通しです。

アクシオム・スペース(Axiom Space)

月面用の宇宙服 AxEMU

NASAと協力して開発中の、月面用の新しい宇宙服です。アルテミスIIIで着陸船との接続を確かめ、2027年には国際宇宙ステーション(ISS)での実証も予定。アルテミスIVの月面活動で使う計画です。極域の低温、強い明暗差、粉じんの中で安全に動けることが求められます。

Why the south pole

なぜ、月の南極なのか

アポロの着陸地はすべて月の赤道に近い場所でした。今回は、太陽が真横から差す南極域を目指します。光と影がはっきり分かれる地形が、氷と電力という2つの魅力を生んでいます。

月の南極の断面の模式図。ほぼ真横から差す太陽の光が尾根の上だけを照らし、クレーターの底は永久影になって、そこに水の氷がある 永久影 1 2 3 4
  1. 1太陽の光は、ほぼ真横から月の自転軸はほとんど傾いていないため、南極では太陽が地平線すれすれを回ります(図では角度を誇張しています)。
  2. 2長く日が当たる尾根高い尾根には、長い期間日が当たり続ける場所があります。太陽光発電や、着陸・拠点づくりに有利です。
  3. 3永久影深いクレーターの底には日が当たらず、マイナス200℃を下回る場所もあります。冷たい「わな」のように、水などを閉じ込めます。
  4. 4水の氷永久影の中に水の氷があることが確認されています。量・濃度・分布や、資源として採って使えるかは、これからの探査で調べます。
模式図です。地形と光の角度は誇張しています。水の氷は、飲み水や酸素、ロケット燃料の原料として期待されています。

The world is heading to the Moon

世界も、月を目指している

月を目指しているのは米国だけではありません。各国が長期的な目標を掲げて動き始めているのが、いまの月開発の特徴です。

各国の有人月探査の目標各国・機関が公表している目標の時期です。どれも確定日ではなく、技術・予算・国際情勢で変わることがあります。
アメリカ(NASA)アルテミスIV・V
2028年に2回(初頭・後半)
中国有人月面着陸
2030年までに
国際月面研究ステーション中国・ロシア主導
2035年 基本モデル2045年 拡張
インド国家の長期ビジョン
2040年
中国

2030年までに有人月面着陸

長征10号ロケット、有人宇宙船「夢舟」、月着陸船「攬月」を開発しています。2026年2月には、長征10号Aの弾道飛行で夢舟の脱出試験(最も空気の力が大きい時点)に成功し、長征10号の低高度での実証試験も終えました。2026年5月の政府発表でも2030年の目標が改めて示されています。

中国・ロシア主導

国際月面研究ステーション(ILRS)

有人着陸とは別の、長期的な月面研究拠点の構想です。2035年までに「基本モデル」、2045年までに「拡張モデル」を整える趣旨が公表されています。

インド

2040年の有人月面ミッション

国家の長期ビジョンとして、2040年までの有人月面ミッションを掲げています。具体的な打上げ日程は公表されていません。

日本

日本人宇宙飛行士2人の月面着陸

2024年4月の日米合意で、将来のアルテミス計画で日本人宇宙飛行士2人が月面に降りる機会が約束されました。日本はJAXAとトヨタが開発する有人の与圧ローバー「ルナクルーザー」を提供します。どのミッションで誰が降りるかは、まだ決まっていません。

表は横にスクロールできます  →

機関・企業目標時期主な内容
NASA2028年初頭を目標(変更の可能性あり)アルテミスIVで、半世紀以上ぶりの有人月面着陸を計画。アルテミスVも2028年後半の着陸を目指す
スペースX2027年の試験を経て判断有人月着陸船「スターシップHLS」を開発。アルテミスIVで使う着陸船の候補
ブルー・オリジン2027年の試験を経て判断有人月着陸船「ブルームーンMK2」を開発。アルテミスIVで使う着陸船の候補。貨物型MK1の初の月着陸は2027年初めの見通し
中国2030年までを目標独自の有人月面着陸(長征10号/夢舟/攬月を開発・試験)
中国主導のILRS2035年(基本モデル)/2045年(拡張モデル)国際月面研究ステーション(有人着陸とは別の長期研究拠点の構想)
インド2040年(国家の長期ビジョン/日程は未公表)独自の有人月面ミッションを目指す
日本未定2024年の日米合意で、アルテミス計画で日本人2人の月面着陸の機会。与圧ローバー「ルナクルーザー」を提供

Technical challenges

技術的な課題

このフェーズには、技術面の課題が多くあります。最大の要点は「信頼性の高い着陸船」。そのうえで、月面で約1週間活動するには、多くの要素を組み合わせて機能させる必要があります。

  • 着陸船の信頼性

    着陸そのものに加え、運用での実証と安全審査を重ね、有人で使える信頼性を積み上げる。

  • 宇宙での燃料補給と管理

    どちらの着陸船も、宇宙で燃料を補給して月へ向かう設計。極低温の燃料を長く保つ技術が要る。

  • 冗長設計と安全審査

    一部が故障しても安全に帰れるよう、予備の系統と手順を用意する。

  • 生命維持

    約1週間、2人が着陸船で暮らせる空気・水・温度を保つ。

  • 宇宙服

    低温・強い明暗差・粉じんの中で、長時間安全に動ける装備。

  • 電力

    太陽が低く影が長い南極で、必要な電気を確保する。

  • 熱の制御

    日なたと永久影の、極端な温度差に耐える。

  • 通信

    地球が地平線の近くにしか見えない場所で、通信をつなぐ。

  • 放射線と粉じん

    地球の磁場に守られない月面での被ばくと、とがった細かい砂(レゴリス)への対策。

着陸できるだけでは、不十分です。月で“生きて働ける”状態を整えることが、次のステップになります。

FAQ

月面着陸のよくある質問

人類が再び月面に降り立つのは、いつですか?
NASAはアルテミスIVで、2028年初頭の有人月面着陸を目標にしています。確定日ではなく、2027年のアルテミスIIIの試験結果や、着陸船の開発状況で変わる可能性があります。中国は2030年までの有人月面着陸を目標にしています。
日本人も月面に降りますか?
2024年4月の日米合意で、将来のアルテミス計画で日本人宇宙飛行士2人が月面に降りる機会が約束されています。日本は、JAXAとトヨタが開発する有人の与圧ローバー「ルナクルーザー」を提供します。どのミッションで誰が降りるかは、まだ決まっていません。
なぜ月の南極を目指すのですか?
永久に日が当たらないクレーターの底に、水の氷があることが確認されているからです。水は飲み水や酸素、ロケット燃料の原料になりえます。近くの尾根には長く日が当たる場所があり、電力も得やすいと考えられています。ただし、氷の量や採って使えるかは、これからの探査で確かめます。
一般の人も月面に行けますか?
現時点で、一般の人が月面に着陸する旅行は販売されていません。政府の着陸が成功しても、民間用の座席、繰り返しの運航、安全基準、保険などが別に必要です。旅行の見通しは月旅行の現在地で整理しています。
出典・参考資料と更新履歴

一次情報・公式資料

補足報道・参考資料

  • 通常のブロック構成から、月の未来ハブと同じ月シリーズの編集デザインへ全面的に作り直しました。南極の風景のヒーロー、着陸までの5ステップ、アルテミスIVの流れの図、着陸船の高さ比較、南極の断面図、各国の目標の年表、課題のアイコンを追加。アルテミスIIIのクルー発表と組み立ての進み具合、ブルームーンMK1の遅れ、中国の2026年の試験、日本人2人の月面着陸の日米合意、アルテミスVの目標を追記。企業名・機体名をカタカナ表記にそろえました(初出は英字を併記)。

本ページは、公開情報を整理した独立系の情報ページです。宇宙開発の日程は、技術・安全審査・予算・国際情勢によって変更・延期されることがあります。最新の情報は、NASAや各国の宇宙機関の公式発表で確認してください。図はすべて説明のための模式図・イメージ図です。

宇宙旅行.jp|月面着陸 — NASA・各国の公式発表をもとに、計画・目標・推定を区別して編集しています。

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