SATELLITES / 軌道と仕事

人工衛星・宇宙望遠鏡の仕事

地球ちきゅうを見守る、電波を届ける、遠くの宇宙うちゅうを観察する。同じ「人工衛星えいせい」でも目的で場所と道具が変わる。

イラスト+体験入門から専門へ
低地球軌道と静止軌道の観測機、地球から遠いL2付近の宇宙望遠鏡を配置した模式図。軌道の直径や天体間距離は同じ縮尺ではありません。
低地球軌道と静止軌道の観測機、地球から遠いL2付近の宇宙望遠鏡を配置した模式図。軌道の直径や天体間距離は同じ縮尺ではありません。

30秒でわかる答え

通信・天気予報・地表の変化・宇宙うちゅうの光など、知りたいことによって使う衛星えいせいや観測かんそく装置が違います。どこをどれくらいの間隔で見たいかも、軌道を選ぶ大切な条件です。

静止軌道の高度
約35,786 km地球の赤道上空、地表の同じ経度付近を見続ける
低地球軌道
数百 km地表に近く細かな観測に向く場合が多い
極に近い軌道
南北を横切る地球の広い場所を繰り返し観察
ウェッブ宇宙望遠鏡の場所
L2近く地球から約150万 km、太陽の周りを回る

ILLUSTRATED JOURNEY

4枚の絵で、しくみをつかむ

絵を順に追い、何が原因で何が起きるかを確かめましょう。図は原理を表す模式図です。

低軌道の地球観測衛星が地表へ観測帯を向ける模式図。
01 / EARTH WATCH

地球を細かく見る衛星

地表の森林・海・雲などをカメラやレーダーで測ります。繰り返し同じ場所を見て変化を調べることもあります。

太陽同期軌道は通過時刻の条件をそろえるのに役立ちます。

赤道上空の静止通信衛星が地上の複数地点を結ぶ模式図。
02 / COMMUNICATION

広い範囲へ電波を送る衛星

静止衛星えいせいは地上からほぼ同じ方向に見え、広い範囲の通信・気象監視に便利です。

低軌道の通信衛星では通常、多数の衛星や追尾が必要です。

地球周回望遠鏡とL2付近の望遠鏡を対比する模式図。
03 / TELESCOPE

宇宙そのものを観測する

ハッブルは主に可視光・紫外線、ウェッブは主に赤外線で宇宙うちゅうを観測かんそくします。

宇宙望遠鏡がすべて同じ地球周回軌道にあるわけではありません。

観測頻度・地表分解能・通信範囲のトレードオフを表す模式図。
04 / DESIGN

目的から軌道を選ぶ

分解能だけでなく、観測かんそく頻度・見える範囲・光の波長はちょう・通信・熱設計にも注意します。

軌道を選ぶだけで性能が自動的に決まることはありません。

TOUCH AND DISCOVER

仕事と軌道を組み合わせて選ぼう

上で「何をしたいか」、下で「どこを飛ぶか」を切り替えます。何が測れるか、何に有利・不利かを比べてみましょう。

1. 知りたいことを選ぶ
2. 飛ぶ場所を選ぶ
MISSION × LOCATION相性がよい組み合わせ
地球L2(別縮尺)地球中心のリングは模式図・L2は別縮尺

静止軌道からは同じ広域を継続監視しやすく、雲の動きに適しています。

代表的な距離・高度約35,786 km
得られやすい情報雲の時系列画像

観測の細かさには、高度だけでなくセンサー性能の影響もあります。

LEARN AT YOUR LEVEL

宇宙のふしぎを、もう少し。

入門から少し専門的な話題まで。4つの段階で、知っておきたいポイントを短く紹介します。

入門

人工衛星の仕事はたくさん

空から地球ちきゅうを見る衛星えいせいも、宇宙うちゅうを観測かんそくする望遠鏡もあります。

  • 天気・森林・海・災害の情報を届ける衛星えいせいがある。
  • 通信の中継や宇宙うちゅうの星・銀河ぎんがを調べる衛星えいせいもある。
基礎

静止軌道と極軌道の違い

いつも同じ場所を見たいか、世界を繰り返し測りたいかで、選ぶ軌道が変わります。

  • 静止軌道は赤道上空約35,786 kmで地球ちきゅうの自転と同じ角速度で周回する。
  • 極に近い低軌道では、南北に回るあいだに地球ちきゅうが自転するので、周回ごとに違う地域の上空を通り、広い範囲を観測かんそくできる。
  • 軌道によって地上局との接続時間が変わる。
発展

何を何回、どれくらい細かく?

適する軌道は、調べる情報の種類や計測装置によって変わります。

  • 地上分解能と観測かんそく幅はトレードオフになる場合がある。
  • 時間分解能は軌道の繰り返しだけでなく観測かんそく幅・機器の向きにも依存する。
  • 赤外線観測かんそくでは望遠鏡自身の熱がノイズになるため冷却や日よけが大切。
専門

光学分解能と軌道設計

良い画像は「低高度」だけで決まらず、光学口径・波長はちょう・検出器・観測かんそく条件が効きます。

θ ≈ 1.22 × λ / D (理想回折限界・ラジアン)

  • 望遠鏡の理想回折限界(角分解能)はおよそ1.22 λ/D(ラジアン)。
  • 軌道面・高度・傾斜角・観測かんそく機会・放射ほうしゃ環境・通信窓を合わせて設計する。
  • ウェッブはL2そのものに静止しているのではなく、L2近傍を周回する軌道にある。

この式は望遠鏡の理想的な角分解能。地表上の実画素寸法や実画像の解像度とは同じではありません。

1 QUESTION CHECK

図のあとに、1問だけ

同じ地域の天気を連続して見守りやすいのは?

答えを1つ選んでください。

COMMON QUESTIONS

よくある誤解

人工衛星は全部地球の周りを回る?
多くの人工衛星は地球を周回しますが、宇宙望遠鏡や探査機には太陽の周りを回るものもあります。ウェッブは太陽地球L2近傍で太陽を周回します。
静止衛星なら北極も細かく見られる?
いいえ。静止衛星は赤道上空から観測するので、高緯度ほど観測角度が不利になります。
宇宙望遠鏡はすべて赤外線を撮るの?
いいえ。紫外線、可視光、赤外線、X線など、目的に応じた波長で観測する望遠鏡があります。

科学的な前提と出典

静止軌道の高度約35,786 kmは、地球の赤道上空での概数です。L2までの約150万 kmは地球からの概数で、厳密に固定された距離ではありません。低軌道・太陽同期軌道・L2の位置と衛星の大きさは模式化しています。選択結果は設計上の典型的な相性を定性的に評価したもので、個々の衛星の性能を保証するものではありません。

資料確認日:2026-10-16

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