EXTREME UNIVERSE / BLACK HOLES
ブラックホールの仕組み
真っ黒な穴の正体は、光さえ外へ出られない「時空の境界」。質量を動かして大きさを比べよう。
THE DIRECT ANSWER
30秒でわかる答え
ブラックホールは、事象の地平面と呼ばれる境界の内側から光や情報が外へ届かない領域です。望遠鏡で見える明るい輪は、周囲で光るガスなどであり、地平面そのものを撮影したものではありません。
中心は見える?
見えません。事象の地平面の内側からは、光も外へ出てこられないからです。
理論の予言と観測が一致では、何が写っている?
まわりで光る熱いガスと、強い重力で曲げられて届いた光です。画像の黒い部分は「影」で、地平面そのものではありません。
EHTなどの観測で確認- 太陽1個分の質量
- 半径 約3 km回転しない理想的なブラックホールの地平面
- 太陽10個分の質量
- 半径 約30 km同じ非回転モデルでは半径が10倍
- 観測で見える「影」
- 地平面とは別光の捕獲・曲がり方により暗く見える領域
LOOK · TOUCH · DISCOVER
見るだけでも、ふしぎ。近づくと、もっとふしぎ。
知りたいところから選べます。上から順に進むと、入門から研究の最前線までたどれます。05では、実在するブラックホールを図鑑で探せます。
STAGE 01 · START HERE
ブラックホールは、黒い「穴」?
4枚の絵で、ブラックホールのまわりをのぞいてみよう。見えているのは、中心ではなくまわりの光です。
01 / 境目
光さえ外へ出られない境目
ブラックホールのまわりには「事象の地平面」という境目があります。その内側から外へ向かった光は、外に出てこられません。かたい表面があるわけではありません。
境目の内側で何が起きているかは、直接は観測できません。
02 / 光るガス
まわりのガスは、明るく光る
ガスがうずを巻きながら落ちていくと、こすれ合って数百万度以上に熱くなり、強く光ります。この光を観測して、見えない中心を調べます。
まわりにガスがないブラックホールは、ほとんど光りません。
03 / 影
黒い「影」は、境目より大きく見える
強い重力で光の通り道が曲がるため、明るいガスの中に、境目より大きな黒い影が見えます。
電波望遠鏡の画像の影は、地平面の輪郭そのものではありません。
04 / ジェット
光の速さに近いガスを、ふき出すものもある
回転するブラックホールのまわりでは、磁場の力で、ガスが細いビームのように光の速さに近い速さでふき出すことがあります。銀河より長くのびるものもあります。
ジェットは境目の内側から出てくるのではなく、境目の外側でつくられます。
まず、ここだけ覚えよう
- ブラックホールは、ものがとても小さな場所にぎゅっと集まり、重力がとても強くなった天体です。
- まわりには「事象の地平面」という境目があり、その内側からは光も外へ出られません。
- 黒く見えるのは穴があいているからではなく、そこから光が届かないからです。
TRY IT · BEGINNER
重さを変えると、境目は何km?
太陽の何倍の質量かを変え、半径と大きさの比を確かめよう。円の半径は同じ線形縮尺で比較します。
SCHWARZSCHILD RADIUS 質量と境界の大きさ
地平面の半径 km
地平面の直径 km
太陽10個分との半径比 倍
質量が2倍なら、非回転モデルの半径も2倍。
rₛ = 2GM/c²。円は地平面の境界を示す記号で、実際に光る輪ではありません。
非回転・無電荷のシュヴァルツシルト解のみ。太陽質量1個あたりの地平面半径を約2.953 kmとして計算します。模式図の線幅や色は実在の表面ではなく、影や光の曲がりを計算していません。
STAGE 02 · EVIDENCE
見えないのに、見つかる理由
中心は見えなくても、まわりへの影響を手がかりに見つけられます。
星の動き
見えない重いものを、星が回っている
天の川銀河の中心では、星がわずか十数年で、見えない一点のまわりを回っています。軌道から、太陽の約400万倍の重さが小さな場所に集まっていると分かりました。
この研究は、2020年のノーベル物理学賞につながりました。
X線
吸い込まれるガスが、X線で光る
相棒の星からガスを吸い込むブラックホールでは、熱くなったガスがX線で強く光ります。日本の実験棟「きぼう」に積まれたMAXIも、こうした天体を数多く見つけています。
はくちょう座X-1は、ブラックホールだと広く認められた最初の天体です。
重力波
合体のときの、空間のゆれ
2つのブラックホールがぶつかって1つになると、空間をゆらす重力波が光の速さで広がります。2015年、アメリカのLIGOが初めてとらえました。
重力波で見つかるのは「合体の出来事」で、ブラックホールの個数とは数え方が違います。
本物の観測データで、合体の音を聴く →影の画像
地球サイズの電波望遠鏡で、影を写す
世界各地の電波望遠鏡を同時に使い、地球ほどの大きさの望遠鏡と同じ細かさで観測するのがEHTです。2019年にM87*、2022年にいて座A*のまわりの光の輪と影を画像にしました。
画像は電波の観測データから組み立てたもので、ふつうの写真とは違います。
見つけるための手がかり
- 見えない重いもののまわりを星が速く回っていれば、その重さが分かります。天の川銀河の中心のいて座A*はこの方法で調べられ、2020年のノーベル物理学賞につながりました。
- 相棒の星からガスを吸い込むと、ガスが熱くなってX線で光ります。はくちょう座X-1は、こうして見つかりました。
- 2つのブラックホールが合体すると、空間のゆれ(重力波)が地球まで届きます。2015年に初めてとらえられました。
- 世界の電波望遠鏡を結んだEHTは、M87*(2019年)といて座A*(2022年)のまわりの光の輪と影を画像にしました。
STAGE 03 · NEAR THE HORIZON
重さと大きさ、近づいたときに起きること
回転しないブラックホールでは、境目の半径は重さに比例します。
3つの距離
境目、光の軌道、回れる限界
回転しないブラックホールでは、境目の1.5倍の距離で光がまわりを回り、3倍より内側ではガスも星も安定して回れずに落ちていきます。
回転するブラックホールでは、これらの距離が変わります。
時間と体
近づくほど、時間はゆっくり、体は細長く
境目に近い場所にとどまると、遠くより時間がゆっくり進みます。また頭と足で重力の強さが違うため、体が引きのばされます。
下の実験で、ブラックホールの重さと距離を変えて確かめよう。
重さと大きさの関係
- 境目の半径(シュヴァルツシルト半径)は、太陽1個分の重さで約3km。重さが10倍なら、半径も10倍です。
- 境目の1.5倍の距離には、光がブラックホールのまわりを回る軌道があります(光子球)。
- ガスや星が安定して回れるいちばん内側は、境目の3倍の距離です。これより内側では落ちていきます。
- 境目に近いほど時間はゆっくり進み、体を頭と足で引きのばす力(潮汐力)も強くなります。境目のそばの引きのばす力は、軽いブラックホールほど強くなります。
INTERACTIVE · NEAR THE HORIZON
近づくと、時間と体はどうなる?
ブラックホールを選んで、スライダーで近づいてみよう。2つの時計の進み方と、体を引きのばす力が変わります。
- 中心からのきょり
- —
- ここで1時間すごすと、遠くでは
- —
- 体を引きのばす力(身長170cm)
- —
回転しないブラックホールで、その場にとどまった場合の計算です(時間の遅れは一般相対論の式、引きのばす力はニュートン力学による近似)。境目のすぐそばでは近似の誤差が大きくなります。実際にその場にとどまるには、とてつもなく強いロケットの力が必要です。
STAGE 04 · FRONTIER RESEARCH
回転・蒸発・情報のなぞ
分かっていることと、まだ分からないことの境目を、3枚の絵で見てみよう。
回転
回るブラックホールは、空間を引きずる
現実のブラックホールの多くは回転していると考えられています。回転が速いほど地平面は小さくなり、そのまわりには、どんなものも止まっていられず一緒に回されてしまう「エルゴ領域」ができます。
回転の速さは、合体の重力波や、円盤から出るX線の観測で調べられています。
蒸発と情報
少しずつ蒸発する? 情報はどこへ?
ホーキングは、量子の効果でブラックホールがわずかに光や粒子を出し、とても長い時間をかけて小さくなると予言しました。では、吸い込まれたものの情報は、蒸発したあとどこへ行くのでしょうか。答えはまだ出ていません。
絵の「粒子の組の片方が逃げる」は、よく使われるたとえです。星が死んでできたブラックホールのホーキング放射は弱すぎて、まだ観測されていません。
最初の巨大ブラックホール
宇宙の始まりから数億年で、なぜこんなに重い?
宇宙が始まって約7億年の時代に、太陽の約16億倍のブラックホールを持つクエーサーが見つかっています。星が死んでできた小さなブラックホールから急いで育ったのか、最初から重い「種」がガスの雲から直接できたのか、説が分かれています。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの観測で、宇宙初期のブラックホールの候補がさらに見つかり、議論が続いています。
rₛ=2GM/c² / r₊=(GM/c²)(1+√(1−a*²))
専門的に考えるための論点
現実のブラックホールは回転していることが多く、量子の効果まで考えると、まだ答えの出ていない問題が残ります。
- 回転するブラックホールはカー解で表されます。回転が速いほど地平面は小さくなり、まわりの空間もいっしょに引きずられます(フレーム・ドラッギング)。
- M87*の画像に見える明るさのかたよりは、まわりのガスの速い運動と光の曲がりで説明でき、一般相対論の予言と矛盾していません。
- 合体した直後のブラックホールが「鳴り止む」ときの重力波(リングダウン)は、地平面の性質を確かめる手がかりになっています。
- ホーキングは1974年、量子の効果でブラックホールがわずかに熱を出し(ホーキング放射)、ゆっくり蒸発すると予言しました。星が死んでできたブラックホールでは弱すぎて、まだ観測されていません。
- 蒸発するとき、吸い込まれたものの情報が失われるのか残るのかは「情報問題」と呼ばれ、量子重力の大きな未解決問題です。
- 中心の特異点は一般相対論が成り立たなくなる場所で、量子重力の理論ができれば別の姿で説明されると考えられています。
- 宇宙が始まって数億年のうちに、太陽の10億倍級のブラックホールがどうやって育ったのかは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの観測が進む今も議論が続いています。
r₊はカー計量のボイヤー=リンドクイスト座標での半径で、ものさしで直接測る長さではありません。2026年10月時点の研究状況をもとにしています。
05 データベースへ進む ↓実在する
ブラックホール大図鑑
ブラックホールは何個ある? 一番大きいのは? 有名なものは?
宇宙の不思議を、有名な天体・合体イベントなど30件から見つけてみよう。
資料確認:2026-10-28 / BH-ATLAS-2026-10-28-01
- 黒い影光が抜け出せない領域が、影のように見える
- 光の輪ブラックホールのまわりを回ってから届いた光
- 円盤の奥側光が曲がって、上に回り込んで見える
- 明るい側こちらへ向かってくるガスは明るく見える
模式図です。実際の観測画像ではなく、大きさや距離の比率も実際とは異なります。
ブラックホールは、宇宙に何個あるの?
NASAによる概算。実際に1億個を発見して数えたわけではありません。
出典:NASA(種類と個数) ↗答え:「宇宙全体で正確に何個あるか」は、まだ分かっていません。推定個数、登録件数、重力波イベント数は数え方が違うので、足し算はできません。
気になる「なぜ?」から探そう
最初に見たい、6つの有名なブラックホール
名前だけでなく、何がすごいのかも一緒に知ろう。
ブラックホールにはどんな種類がある?
収録した天体を、重さの順に1本のものさしに並べました。点を選ぶと、その天体のカードへ移動します。
横にスクロールできます
重さが10倍になると、光が抜け出せない境目の半径も10倍。たとえば…
- 10倍なら半径約30km東京23区がすっぽり入る
- いて座A*:約1200万km太陽の半径の約17倍
- M87*:約190億km冥王星の軌道の約3倍
図に描ける数値を載せていない7件(数値は資料参照、否定された例を含む)XTE J1118+480GRO J1655−403C 273EUCL J172902.75+641018.1EUCL J125308.55+705432.3NGC 6099 HLX-1HR 6819
恒星質量
太陽の数倍〜数十倍など。大きな星の進化や連星・合体で生まれる。
中間質量
恒星質量と超巨大の間。まだ見つけにくく、候補の解釈も研究が続く。
超巨大
数百万〜数百億太陽質量級。多くの銀河の中心にあり、クエーサーのエネルギー源にもなる。
原始ブラックホール
宇宙誕生初期にできたかもしれないという説。実在は未確証のため、下の天体一覧に混ぜません。
「重力波イベント」は種類ではなく合体の出来事、「HR 6819」は否定された例です。この2区分は確認済みブラックホール数に含められません。NASAの種類解説 ↗
有名な天体・観測記録を調べる
30件の代表例を収録。すべてが「確定したブラックホール30個」という意味ではありません。
はくちょう座X-1
Cygnus X-1
ブラックホール研究の歴史をつくったX線連星
- 質量
- 約21太陽質量
- 距離
- 約7,200光年
- どうやって?
- 伴星の運動・X線・電波
どんな天体? 出典も見る
伴星の運動や電波観測を組み合わせて、見えない重い天体の質量を調べた。
場所・対象:天の川銀河・はくちょう座
質量について:21.2±2.2太陽質量。2021年論文のモデルに依存。
別名:Cyg X-1
参照資料の年:2021
出典・元の資料
ガイアBH1
Gaia BH1
地球に比較的近い「静かな」ブラックホール
- 質量
- 約10太陽質量
- 距離
- 約1,560光年
- どうやって?
- 伴星の軌道・Gaia位置測定
どんな天体? 出典も見る
強いX線が見えなくても、そばの星の小さな揺れから発見できる。
場所・対象:天の川銀河・へびつかい座方向
参照資料の年:2023
出典・元の資料
ガイアBH2
Gaia BH2
赤色巨星と組になった静かなブラックホール
- 質量
- 約9太陽質量
- 距離
- 約3,800光年
- どうやって?
- 伴星の軌道・Gaia位置測定
どんな天体? 出典も見る
遠くの伴星が見えない相手に引かれている様子を、Gaiaの測定から推定。
場所・対象:天の川銀河・ケンタウルス座方向
質量について:8.94±0.34太陽質量。伴星の視線速度とGaiaの位置測定を組み合わせた解析(2023年)。
参照資料の年:2023/2024
出典・元の資料
ガイアBH3
Gaia BH3
太陽の約33倍! 天の川銀河内の重い恒星質量例
- 質量
- 約33太陽質量
- 距離
- 約1,926光年
- どうやって?
- 伴星の軌道・Gaia・追観測
どんな天体? 出典も見る
伴星の動きと追観測から見つかった。約33太陽質量という重さが特徴。
場所・対象:天の川銀河・わし座方向
参照資料の年:2024
出典・元の資料
V404 Cygni
V404 Cygni
突然明るくなるブラックホール連星
- 質量
- 約9太陽質量
- 距離
- 約7,800光年
- どうやって?
- X線の増光・伴星の運動
どんな天体? 出典も見る
2015年の増光で大きな注目を集めた。ブラックホール近くへガスが流れると強いX線が出る。
場所・対象:天の川銀河・はくちょう座
質量について:9.0(+0.2/−0.6)太陽質量。近赤外線の分光による伴星の解析(2010年)。
距離について:2.39±0.14キロパーセク。電波の年周視差による測定(2009年)。
別名:GS 2023+338
参照資料の年:2009/2010
出典・元の資料
A0620−00
A0620−00
近隣のX線連星として研究されてきた例
- 質量
- 約6.6太陽質量
- 距離
- 約3,500光年
- どうやって?
- X線・伴星の運動
どんな天体? 出典も見る
普段は暗いが増光するX線連星。別名が多いため、同一の系としてまとめる。
場所・対象:天の川銀河
質量について:6.6±0.25太陽質量。約30年分の測光から軌道の傾きを求めた解析(2010年)。
距離について:1.06±0.12キロパーセク。同じ論文のモデルによる推定。
別名:V616 Mon、3A 0620−003
参照資料の年:2010
出典・元の資料
GRS 1915+105
GRS 1915+105
激しいX線変化と高速回転で知られる
- 質量
- 約12太陽質量
- 距離
- 約2万8,000光年
- どうやって?
- X線・連星運動・ジェット
どんな天体? 出典も見る
ガスが落ち込む様子とX線の変動を調べる代表的な研究対象。回転速度はモデル依存。
場所・対象:天の川銀河
質量について:12.4(+2.0/−1.8)太陽質量。視差距離を使って見直した値(2014年)。
距離について:8.6(+2.0/−1.6)キロパーセク。電波の年周視差による測定(2014年)。
参照資料の年:2014
出典・元の資料
MAXI J1820+070
MAXI J1820+070
日本の「きぼう」のMAXIが見つけたX線天体
- 質量
- 研究により約7〜9太陽質量
- 距離
- 約9,700光年
- どうやって?
- MAXIのX線・伴星の分光観測
どんな天体? 出典も見る
2018年のX線突発をMAXIが報告し、日本の望遠鏡も追観測に参加した。
場所・対象:天の川銀河
質量について:研究によって推定値が異なる。単一の確定質量ではない。
距離について:2.96±0.33キロパーセク。電波の年周視差による測定(2020年)。
日本との関わり:MAXIによるX線突発の発見と日本の研究チームによる追観測。
参照資料の年:2018〜2020
出典・元の資料
Swift J1727.8−1613
Swift J1727.8−1613
2025年にブラックホールの力学的証拠が示された
- 質量
- 3.12太陽質量より大きい(下限)
- 距離
- 約11,100光年(推定)
- どうやって?
- 分光・伴星の視線速度
どんな天体? 出典も見る
2023年に増光したX線源。伴星の動きからコンパクト天体の下限質量を調べた。
場所・対象:天の川銀河
質量について:3.12±0.10太陽質量より大きいという力学的下限。質量の中央値ではない。
距離について:論文の3.4±0.3 kpcを光年に概算。
参照資料の年:2025
出典・元の資料
XTE J1118+480
XTE J1118+480
伴星の運動で調べるブラックホールX線連星
- 質量
- 恒星質量(数値は資料参照)
- 距離
- 未掲載
- どうやって?
- 伴星の運動・X線
どんな天体? 出典も見る
GRO J1655−40
GRO J1655−40
ジェットを放つ「小さなクエーサー」
- 質量
- 恒星質量(数値は資料参照)
- 距離
- 約3,200〜9,600光年(資料の幅)
- どうやって?
- X線・伴星・ジェット
どんな天体? 出典も見る
ブラックホールの近くから高速のジェットを噴く。小型の活動銀河核を思わせる。
場所・対象:天の川銀河・さそり座
参照資料の年:2002
出典・元の資料
MAXI J1348−630
MAXI J1348−630
日本の全天X線監視が発見したブラックホール候補
- 質量
- 約7太陽質量以上(モデルによる)
- 距離
- 距離は未確定
- どうやって?
- X線スペクトル・降着円盤のモデル
どんな天体? 出典も見る
MAXIの増光検出と円盤から出るX線を調べた例。質量はモデル依存。
場所・対象:天の川銀河
質量について:観測モデルに基づく下限。力学的に確定した質量中央値ではない。
日本との関わり:JAXA・理研等のMAXI観測チームがX線突発を発見。
参照資料の年:2020
出典・元の資料
いて座A*
Sagittarius A*
私たちの銀河の中心にある巨大ブラックホール
- 質量
- 約400万太陽質量
- 距離
- 約27,000光年
- どうやって?
- 星の軌道・EHT画像
どんな天体? 出典も見る
そばの恒星の軌道から重さを求め、EHTが明るいリングの画像も公開した。
場所・対象:天の川銀河の中心
参照資料の年:2022
出典・元の資料
M87*
M87*
2019年、人類が初めて画像化したブラックホール
- 質量
- 約65億太陽質量
- 距離
- 約5,500万光年
- どうやって?
- EHT電波干渉観測・星の運動
どんな天体? 出典も見る
TON 618
TON 618
数百億太陽質量級の巨大ブラックホール
- 質量
- 約660億太陽質量(推定)
- 距離
- 未掲載
- どうやって?
- クエーサーの分光・モデル推定
どんな天体? 出典も見る
明るいクエーサーの光とスペクトルから中心の超巨大ブラックホールを調べる。
場所・対象:遠方のクエーサー
質量について:NASAの一般向け掲載値。巨大ブラックホールの順位は測定法・文献で変わる。
出典・元の資料
Holmberg 15A中心
Holmberg 15A central BH
巨大ブラックホールの質量推定が変わった例
- 質量
- 約216億太陽質量(2025年解析)
- 距離
- 未掲載
- どうやって?
- 銀河内の星の速度・軌道モデル
どんな天体? 出典も見る
2019年の約400億太陽質量という推定が、2025年の別モデルでは約216億太陽質量に。
場所・対象:銀河団Abell 85中心
質量について:2019年の約400億太陽質量と数値が異なる。採用モデル・軌道形状の仮定が異なる。
参照資料の年:2019/2025
出典・元の資料
NGC 4258中心
NGC 4258 central BH
水分子が発する電波から重さを測った
- 質量
- 約3,900万太陽質量
- 距離
- 約2,000〜2,400万光年
- どうやって?
- 水メーザー・円盤の回転
どんな天体? 出典も見る
周囲のガス円盤にある水メーザーの運動が、質量を知る優れた手がかりになる。
場所・対象:銀河NGC 4258
距離について:資料によって約2,000万〜2,350万光年の値がある。
出典・元の資料
ケンタウルス座A中心
Centaurus A central BH
ジェットを噴き出す活動銀河の中心
- 質量
- 約5,500万太陽質量
- 距離
- 約1,200万光年
- どうやって?
- 電波・X線・銀河中心の運動
どんな天体? 出典も見る
電波やX線で大きなジェットが確認された銀河。その中心に巨大ブラックホールがある。
場所・対象:ケンタウルス座A(NGC 5128)
参照資料の年:2023
出典・元の資料
3C 273
3C 273
「クエーサー」という天体を広く知らしめた
- 質量
- 個別値は未掲載
- 距離
- 光の到達時間 約25億年
- どうやって?
- 分光・ジェット・銀河の観測
どんな天体? 出典も見る
非常に明るい活動銀河核。ブラックホール自体が光るのではなく周囲のガスが輝く。
場所・対象:おとめ座方向
質量について:クエーサーの光をブラックホールの表面と混同しない。
参照資料の年:1960年代/2013年資料
出典・元の資料
J0313−1806
QSO J0313−1806
初期宇宙の巨大ブラックホールを示すクエーサー
- 質量
- 約16億太陽質量
- 距離
- 宇宙初期の光(z≈7.64)
- どうやって?
- クエーサー分光・遠方銀河の観測
どんな天体? 出典も見る
宇宙誕生から約6.7億年後の時代を観測した。2026年現在の最遠方記録ではない。
場所・対象:初期宇宙
参照資料の年:2021/2026比較
出典・元の資料
EUCL J172902.75+641018.1
EUCL J172902.75+641018.1
2026年に公表された最遠方級のクエーサー
- 質量
- 中心ブラックホールの質量は未掲載
- 距離
- 赤方偏移 z=7.77
- どうやって?
- 赤外線・可視光・分光
どんな天体? 出典も見る
ユークリッドで発見され、すばる望遠鏡のデータも探索に貢献。宇宙誕生約6.7億年後の光。
場所・対象:初期宇宙・遠方クエーサー
日本との関わり:すばる望遠鏡HSCの可視光データが候補選別に貢献。
参照資料の年:2026
出典・元の資料
EUCL J125308.55+705432.3
EUCL J125308.55+705432.3
2026年の遠方クエーサーの発見例
- 質量
- 中心ブラックホールの質量は未掲載
- 距離
- 赤方偏移 z=7.69
- どうやって?
- 赤外線・可視光・分光
どんな天体? 出典も見る
EUCL J1729に次ぐ高赤方偏移の例。どちらも「クエーサー」であり、その中心にブラックホールがある。
場所・対象:初期宇宙・遠方クエーサー
日本との関わり:すばる望遠鏡HSCの可視光データが探索に利用された。
参照資料の年:2026
出典・元の資料
3XMM J215022.4−055108
3XMM J215022.4−055108
星が引き裂かれるX線から見つかった中間質量の例
- 質量
- 約5万太陽質量
- 距離
- 約7.4億光年
- どうやって?
- X線フレア・ハッブル画像
どんな天体? 出典も見る
星が壊される際に出たX線とハッブルの撮影で位置を特定した。
場所・対象:別銀河周辺の星団
出典・元の資料
ESO 243−49 HLX-1
ESO 243−49 HLX-1
別銀河の外側にある強力なX線源
- 質量
- 約2万太陽質量(推定例)
- 距離
- 約2.9億光年
- どうやって?
- X線・ハッブル画像
どんな天体? 出典も見る
非常に明るいX線と星団の位置から中間質量ブラックホール候補として研究される。
場所・対象:ESO 243−49銀河の周辺
質量について:NASAの観測解説に掲載された推定例。
出典・元の資料
オメガ・ケンタウリ中心候補
Omega Centauri IMBH candidate
星団の中心で7つの星が異常な速さで動く
- 質量
- 約8,200太陽質量以上(候補)
- 距離
- 約17,700光年(星団まで)
- どうやって?
- 星の軌道・ハッブル画像
どんな天体? 出典も見る
ハッブルの長年の観測から、中間質量ブラックホールの可能性が示された。
場所・対象:球状星団オメガ・ケンタウリ
参照資料の年:2024
出典・元の資料
NGC 6099 HLX-1
NGC 6099 HLX-1
X線が明るい天体から中間質量を探る
- 質量
- 個別値は未掲載
- 距離
- 未掲載
- どうやって?
- X線・星団の観測
どんな天体? 出典も見る
GW150914
GW150914
人類初の重力波直接検出
- 質量
- 合体後 約62太陽質量
- 距離
- 約13億光年(モデル推定)
- どうやって?
- 重力波・LIGO
どんな天体? 出典も見る
2015年に検出されたブラックホール同士の合体。これは天体の名前ではなく出来事の名前。
場所・対象:遠方宇宙
質量について:合体後の残骸の質量。合体前は約36・29太陽質量と推定。
参照資料の年:2015
出典・元の資料
GW190521
GW190521
合体で「中間質量」が生まれた代表例
- 質量
- 合体後 約142太陽質量
- 距離
- 約170億光年相当の光度距離(約5.3 Gpc)
- どうやって?
- 重力波・LIGO/Virgo
どんな天体? 出典も見る
重力波によって、合体後に約142太陽質量のブラックホールができたと推定。
場所・対象:遠方宇宙
質量について:モデル依存の90%信用区間を持つ推定。
距離について:光度距離の換算であり、光の旅行時間ではない。
参照資料の年:2019/発表2020
出典・元の資料
GW231123
GW231123
非常に重いブラックホールどうしが合体
- 質量
- 合体後 約225太陽質量(目安)
- 距離
- 論文では光度距離に広い幅
- どうやって?
- 重力波・LIGO
どんな天体? 出典も見る
2023年に検出、2025年発表。大質量の合体で重力波が出ることを確かめた。
場所・対象:遠方宇宙
質量について:解析モデルにより質量の幅がある。KAGRAがこの信号を検出したという意味ではない。
日本との関わり:KAGRAは国際共同研究に参加。信号自体はLIGOの2台で検出。
参照資料の年:2023/発表2025
出典・元の資料
HR 6819
HR 6819
「近いブラックホール」の発表が覆った
- 質量
- 該当なし
- 距離
- 約1,000光年(系まで)
- どうやって?
- 星の分光・干渉計
どんな天体? 出典も見る
2020年は候補として報じられたが、2022年の追加観測でブラックホールを含まない連星系と判断。
場所・対象:天の川銀河
参照資料の年:2020/2022
出典・元の資料
一致するデータがありません。別の名前や種類で検索してみてください。
データの数字には「推定値」「下限値」「旧研究の値」が含まれます。異なる研究方法の数値をそのまま順位づけできるとは限りません。未掲載はゼロという意味ではありません。 重力波イベントはブラックホール本体とは別に数えています。
ブラックホールのよくある質問
ブラックホールは宇宙に何個ある?
全部で何個あるかは分かっていません。NASAは、天の川銀河だけでも恒星質量のブラックホールが最大約1億個ある可能性を示しています。これは実際に数えた数ではなく、推計です。 出典を確認 ↗
発見されたブラックホールは何個?
「確定」と「候補」の扱い、観測方法、銀河系内・銀河系外の範囲によって数が変わるため、世界共通の単一の総数は示せません。BlackCATの73件は主にX線突発天体の収録数、GWTC-5.0の390件は重力波イベント数であり、ブラックホールの個数ではありません。 出典を確認 ↗
地球に近いブラックホールは?
代表例はGaia BH1で、地球から約1,560光年の距離にあります。星の動きから存在が確認されました。より近い例が将来発見される可能性はあります。 出典を確認 ↗
一番大きいブラックホールは?
TON 618は約660億太陽質量という非常に重い推定値で知られています。ただし、巨大ブラックホールの質量は観測モデルによって異なり、「絶対の世界一」を一意に定めるのは容易ではありません。 出典を確認 ↗
ブラックホールの写真はある?
M87*(2019年)と、天の川銀河の中心にあるいて座A*(2022年)について、EHTが周囲の明るいガスと中央の暗い領域を電波観測データから再構成した画像を公開しています。内部を直接撮影した写真ではありません。 出典を確認 ↗
ブラックホールはどうやって見つける?
周囲の星の軌道、落ち込むガスが出すX線、重力レンズ、電波望遠鏡で捉えたリング、合体による重力波などを使います。光って見えるのは主にブラックホールそのものではなく周囲の物質です。 出典を確認 ↗
原始ブラックホールは実在する?
宇宙誕生初期にできた可能性を考える仮説上のブラックホールです。現時点では存在が確証されていません。そのため、このデータベースの実在天体一覧には入れていません。 出典を確認 ↗
読むだけでなく、ブラックホールを動かしてみよう。
実在する天体の情報と、操作できる物理模型は別ものです。学んだ仕組みを、シミュレーターで試してみよう。
ブラックホール・ラボを体験する →編集方針:代表例を一般向けに整理した教育用一覧です。観測されていない「推定1億個」を登録したものではありません。収録範囲・出典・確認日を明示し、数値に違いがある場合はその違いも示します。2026年10月28日時点の調査に基づきます。
CHECK YOUR UNDERSTANDING
最後にひとつ、考えてみよう。
絵を見ただけでも、ひらめくかもしれません。
EHTなどが捉えるブラックホールの「影」は何を表す?
答えを1つ選んでください。
FREQUENT QUESTIONS
よくある疑問
ブラックホールは何でも吸い込む?
光が出てこないのに、どうやって見つけるの?
明るいリングの内側全部が地平面?
ブラックホールの中はわかっている?
ブラックホールに落ちたらどうなる?
地球がブラックホールに吸い込まれる心配は?
太陽はいつかブラックホールになる?
ブラックホールは蒸発する?
重いブラックホールほど近づくと危ない?
科学的な前提と出典
半径計算は非回転・無電荷の理想解で、1 M☉あたり約2.953 kmです。図のリング・影・円盤の明るさは概念表現であり、観測画像でも光線追跡計算でもありません。回転ブラックホールの地平面や光路はカー計量で異なります。EHTの暗い影は事象の地平面そのものではなく、一般相対論による光の経路にも依存します。 03の操作実験の時間の遅れは静止した観測者についての一般相対論の式、引きのばす力はニュートン力学の近似で、境目の近くでは誤差が大きくなります。
資料確認日:2026-10-28
出典と研究論文(14件)を見る
- NASA Science — Anatomy of a Black Hole ↗
- NASA Imagine — Schwarzschild radius ↗
- Event Horizon Telescope — M87* shadow and mass (2019) ↗
- NASA Science — Black Hole Types ↗
- Nobel Prize — The Nobel Prize in Physics 2020(銀河中心の超大質量天体の発見) ↗
- ESO — いて座A*のEHT画像(2022) ↗
- NASA — M87*の画像と協調観測(2019) ↗
- LIGO — GW150914 科学サマリー ↗
- Miller-Jones ほか — はくちょう座X-1の質量と距離(Science 2021) ↗
- JAXA — MAXI J1820+070の発見と追観測 ↗
- Kerr (1963) — 回転するブラックホールの解(Physical Review Letters) ↗
- Hawking (1974) — Black hole explosions?(Nature) ↗
- Hawking (1976) — 重力崩壊における予測可能性の破れ(Physical Review D) ↗
- NASA — 初期宇宙のクエーサーJ0313−1806 ↗
