BEYOND THE UNIVERSE
宇宙のふしぎ・宇宙論
宇宙の外側には何がある?
見える宇宙の向こうには、さらに宇宙が続くと考えられます。では、宇宙全体の「外側」は? まだ分かっていません。
THE DIRECT ANSWER
30秒でわかる答え
「見える宇宙(観測できる宇宙)」の外側にも、宇宙は続いていると考えられています。一方、「宇宙全体」に外側があるのかは、まだ分かっていません。宇宙は無限に広がっているのかもしれませんし、有限なのに端がないのかもしれません。また、宇宙の膨張は、何もない「外」へ広がっていくことではありません。
見える範囲の外には?
さらに宇宙が続くと考えられています。見えないのは、遠くからの光がまだ私たちに届いていないからです。
科学者の強い推論宇宙全体の外には?
まだ分かっていません。そもそも「外側」がないのかもしれません。有限なのに端がない宇宙も、どこまでも続く宇宙も考えられています。
まだ分かっていない- 見える宇宙
- 直径 約920億光年今の距離に直した値。宇宙全体の大きさではない
- 見える範囲の外
- 続くと考えられる直接は見えず、確かめられていない
- 宇宙全体の外
- まだ分からない有限か無限か、「外側」があるのかも分かっていない
LOOK · TOUCH · DISCOVER
見るだけでも、おもしろい。動かすと、もっとわかる。
気になる絵から、自由に見てみよう。「見える宇宙」の範囲を比べたり、端のない宇宙のモデルを旅したり。もっと知りたくなったら、その先も探検してみよう。
STAGE 01 · START HERE
絵で、宇宙の「外側」をのぞこう
4枚の絵を追いかけながら、「見える範囲の向こう」を想像してみよう。見えないからといって、そこで宇宙が途切れているとは限りません。
01 / 見える範囲
見える範囲には、限りがある
宇宙には年齢があり、光が届くには時間がかかります。だから、今見えている範囲には限りがあります。ただし、その端(はし)に壁があるわけではありません。
見える宇宙の直径は、今の距離に直すと約920億光年。宇宙全体の大きさではありません。
02 / その向こう
その向こうにも、宇宙は続いているはず
見える範囲は、立つ場所によってちがいます(絵の A と B)。どの方向を見ても宇宙は同じように見えるので、見える範囲の外にも、空間や銀河が続いていると考えられています。ただし、その先を直接見た人はいません。
「見えない」ことは「何もない」ことではありません。
03 / 端はある?
宇宙全体に「端」がない可能性
地球の上をどこまで歩いても、端から落ちることはありません。宇宙も、広さに限りがある(有限な)のに、端がない形かもしれません。どこまでも無限に広がっている可能性もあります。どちらなのかは、まだ分かっていません。
地球の表面は、2次元で考えるためのたとえです。宇宙が地球と同じ形だ、という意味ではありません。
04 / 膨張
宇宙は、どこへ膨張しているの?
宇宙が膨張するとは、銀河と銀河の間の空間がのびて、遠くの銀河どうしがはなれていくことです。何もない「宇宙の外」へ広がっていくわけではありません。
銀河や太陽系のように、重力でしっかりまとまっているものは、空間といっしょに大きくなることはありません。
「外」には、2つの意味がある
見える宇宙の外には、もっと宇宙が続くと考えられています。でも、宇宙全体に「外」があるかは、まだ分かりません。
- 見える範囲の端に、壁があるわけではありません。
- 見えない場所が、何もない場所とは限りません。
- 宇宙全体には、端がないかもしれません。
TRY IT · BEGINNER
3つの見方で、宇宙を動かしてみよう。
タブで見方を選んで、スライダーを動かそう。
立つ場所を変えると、見える範囲もいっしょに動きます。宇宙がそこで終わっているわけではありません。
絵はすべて模式図です。紫色の星は「宇宙が続いているなら」という仮の配置で、観測されたものではありません。
端のない地図は、2次元のたとえです。
STAGE 02 · EVIDENCE
見える宇宙の外にも、宇宙が続くと考えられる理由
直接は見えなくても、続いていると考える理由があります。
強い推論
見える範囲の端は、宇宙の端ではない
私たちに見える範囲は、宇宙が始まってから今までに、光が私たちまで届くことのできた範囲で、いわば宇宙の「視界」です。私たちに見えている遠くの銀河にも、その銀河を中心にした見える範囲があり、私たちに見えない場所まで見えているはずです。どの方向を見ても宇宙は同じように見え、端の兆候もないため、見える範囲の外にも同じような宇宙が続くと考えられています。
これは推論で、見える範囲の外を直接確かめることはできません。見える範囲の大きさや距離は「宇宙の果てはどこ?」で扱います。
観測で分かっている
いちばん古い光で、曲がりを測る
いちばん古い光(宇宙背景放射)には、本当の大きさが計算で分かる模様があります。空間が球面のように曲がっていれば模様は大きく、馬の鞍(くら)のような形(鞍形)なら小さく見えるはずです。実際の模様は約1度で、平らな空間の予想とよく合います。
実際には、銀河の分布の測定と組み合わせて曲がりを決めています。見える範囲では平らに近いと分かりましたが、ごくわずかな曲がりは、まだ否定できません。
続いていると考える手がかり
- どの方向を見ても宇宙は同じように見え、端があるような気配はありません。
- 背景放射や銀河の分布を調べると、空間の曲がり(曲率)はほぼゼロで、平らに近いことが分かっています。ただし、それだけでは宇宙全体の大きさや、端があるかどうかまでは分かりません。
- 私たちが宇宙の特別な場所にいる、と考える理由はありません(これは観測ではなく前提で、コペルニクス原理と呼ばれます)。
- ただし、これは推論です。見える範囲の外を、直接確かめることはできません。
STAGE 03 · SHAPE OF SPACE
端がないことと、無限であることは違う
端がなくても、有限な宇宙はありえます。
まだ分かっていない
端がなくても、有限でありうる
地球の表面には端がありませんが、広さは有限です。宇宙にも、3次元で同じように「端はないのに有限」という形がありえます。平らな空間でも、ゲーム画面のように一周すると元に戻る形なら有限です。どこまでも続く無限の宇宙も、観測と矛盾しません。
どの候補も、端や「外側の空間」を必要としません。図の球のたとえでは、宇宙は球の表面だけで、球の内側と外側は宇宙に含まれません。
確かさが分かれる
「外」の考えは、確かさがばらばら
見える範囲の外にも同じ宇宙が続くことは、強い推論です。一方、急膨張を続ける空間に泡のような宇宙が次々に生まれるという考えや、私たちの宇宙が高い次元の空間に浮かぶ膜だという考えは仮説で、痕跡は見つかっていません。宇宙全体を外から包む空間は、今の物理では考える必要がなく、問いとして成り立つかどうかも分かりません。
こうした「多元宇宙」の考えには「確かめられないものは科学と呼べない」という批判があります。一方で、泡どうしがぶつかった跡を背景放射で探すなど、観測で調べる方法も提案されています。
「曲がり」と「つながり方」は別
- 地球の表面は、広さに限りがあるのに端がありません。宇宙にも、3次元で同じような形がありえます。
- 平らな空間でも、ゲーム画面のように一周すると元に戻る形(トーラス)なら有限です。
- 球面(風船)のたとえでは、風船の内側と外側の空間は宇宙に含まれません。
- 宇宙の膨張は「何かの中へ広がる」ことではなく、銀河と銀河の間の空間そのものがのびて、距離が広がることです。
INTERACTIVE · SPACE GEOMETRY
端のない宇宙を、一周する
画面の端どうしがつながった宇宙で、一周の長さを変えてみよう。「曲がりを測る」では、三角形の内角の和で空間の形を比べられます。
SHAPE OF SPACE · 宇宙の形を試す 一周する宇宙
同じ銀河が2回以上見える0個
まっすぐ進むと見える範囲の中では、元の場所に戻らない
三角形の内角の和186.4°
180°との差+6.4°
一周が見える範囲の直径以上になると、この模型ではくり返しの像は現れません。実際の宇宙では、形によってはかすかな手がかりが残ることもあります。
この形の性質
- 端
- なし
- 大きさ
- 有限(一周すると戻る)
- 外側の空間
- 必要ない
実際の観測では
背景放射に、くり返しの模様は見つかっていません。ただ、宇宙のつながり方や私たちのいる場所によっては見つけにくいこともあり、有限か無限かはまだ分かっていません。
2次元のたとえです。球面や鞍形の「内側・外側の空間」は宇宙に含まれません。3次元の宇宙でも、端がなく有限な形がありえます。
2次元のたとえです。数値は見える範囲の直径を1としたときの比で、実際の宇宙の大きさを示すものではありません。
STAGE 04 · FRONTIER RESEARCH
曲率・位相・宇宙膨張と、観測の限界
宇宙の形は、曲がり(曲率)とつながり方(位相)の両方で決まります。
曲がりの半径 R ≈ (c / H₀) ÷ √|Ω_K|
専門的に考えるための論点
- Ω_K は空間の曲がりの大きさを表す量で、正なら開いた(鞍形)側、負なら閉じた(球面)側です。c は光の速さ、H₀ はハッブル定数です。
- 背景放射(CMB)と、銀河の分布に残る音波の跡(BAO)から、標準的なモデルでは、空間の曲がりはゼロに近い狭い範囲に絞りこまれています。曲がりの半径が少なくともどれだけ大きいか(下限)は、採用するモデルと信頼区間によって変わります。
- 背景放射に、はっきりしたくり返しの模様は見つかっていません。ただし、有限な宇宙の形がすべて否定されたわけではありません。見つけやすさは、宇宙のつながり方(位相)、私たちの位置、データの精度によって変わります。
- 加速膨張する宇宙では、2つの「地平線」を区別します。これまでに光が私たちに届いた範囲の境目(粒子的地平線=見える宇宙の境目)と、今そこを出た光がいつか私たちに届くかどうかの境目(宇宙の事象の地平線)です。
- 多元宇宙には、いくつもの異なる仮説があります。「見える範囲の外にも同じ宇宙が続く」という推論と、「物理の条件がちがう泡宇宙が本当にある」という仮説を、同じ確かさで扱うことはできません。
- 見える範囲の外の影響が銀河団の流れに表れている、という主張(ダークフロー、2008年)もありましたが、プランク衛星の解析では確かめられませんでした。
- 高い次元の「外」(ブレーン宇宙)の兆候は、加速器の実験では見つかっていません。
2026年10月18日時点の研究状況:プランク衛星の背景放射データに BAO を組み合わせた標準的な解析(2018年)では Ω_K = 0.0007 ± 0.0019(68%信頼区間)で、平らな宇宙と矛盾しません。2026年7月の解析(Chudaykin ほか)は、データとモデルの組み合わせによっては、開いた宇宙を約2.7σで支持すると報告しています。ただし確定した結果ではなく、ほかの解析と比べる必要があります。2026年の位相の総説でも、宇宙がトーラスのように一周してつながる形(自明でない位相)だという決定的な証拠は見つかっていません。
科学的な出典と研究論文を見る ↓CHECK YOUR UNDERSTANDING
最後にひとつ、考えてみよう。
絵を見ただけでも、ひらめくかもしれません。
宇宙について、いま分かっていることとして正しいものは?
答えを1つ選んでください。
DISCOVER · CHOOSE · IMPROVE
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FREQUENT QUESTIONS
よくある疑問
宇宙は、何の中で膨張しているの?
宇宙に端があるとしたら、その先は?
宇宙が平らなら、無限なの?
宇宙の外に、別の宇宙(多元宇宙)はある?
見える宇宙の外は、いつか見えるようになる?
宇宙の外は「無」なの?
宇宙が無限なら、見える宇宙も無限なの?
見える宇宙の「外」に行けば、何が見える?
風船は外へふくらむのに、宇宙は外なしで膨張できる?
「宇宙の果てはどこ?」のページとは、何がちがう?
科学的な前提と出典
観測で分かっていること:光で確かめられる範囲には限りがあり、宇宙背景放射などの測定から、空間の曲がりはほぼゼロ(平らに近い)と分かっています。強い推論:見える範囲の外にも、同じような宇宙が続くと考えられます。まだ分かっていないこと:宇宙全体が有限か無限か、どうつながっているか(位相)、「外側」があるのか。2次元の図と操作の数値は理解のための模型で、宇宙の本当の大きさや形を測ったものではありません。
資料確認日:2026年10月18日
出典と研究論文(19件)を見る
- NASA|How Big is Space?(2025年:観測可能な宇宙の大きさ) ↗
- NASA|宇宙膨張は何の中へ広がる?(John Mather FAQ) ↗
- ESA|Planck 宇宙の曲率と宇宙背景放射 ↗
- 国立天文台 よくある質問:宇宙の果てはどうなっているの? ↗
- Planck 2018 results VI:Cosmological parameters ↗
- Planck 2015 results XVIII:Background geometry and topology ↗
- Copi ほか(COMPACT)2026:The Topology of the Universe ↗
- Quanta Magazine(2025):Cosmologists Try a New Way to Measure the Shape of the Universe ↗
- Chen & Zaldarriaga 2025:It's All Ok: Curvature in Light of BAO from DESI DR2 ↗
- Di Valentino ほか 2019:Planck evidence for a closed Universe ↗
- Efstathiou & Gratton 2020:The evidence for a spatially flat Universe ↗
- Davis & Lineweaver 2004:Expanding Confusion ↗
- Tegmark 2003:Parallel Universes ↗
- Physics Today:Planck data show no signs of dark flow ↗
- CERN:Extra dimensions, gravitons, and tiny black holes ↗
- Chudaykin, Ivanov, Kallosh, Linde ほか 2026:Inflation, Open Universes, and Dark Energy ↗
- Kleban & Schillo 2012:Spatial Curvature Falsifies Eternal Inflation ↗
- Feeney ほか 2011:First Observational Tests of Eternal Inflation ↗
- Ellis & Silk 2014(Nature):Scientific method: Defend the integrity of physics ↗
